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民法での損害賠償請求権と求償権での弁護士費用の請求ついて
民法における、損害賠償請求権と求償権の違いについてお聞きします。 弁護士費用は原則、 加害者への損害賠償請求する場合→含められる 使用者が被用者へ求償する場合→含められない と覚えてしまっても間違いないでしょうか? それとも、弁護士費用が請求できるかどうかは、規定や判例がなく統一的に覚えることは不可能でしょうか? 宜しくお願い致します。
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不法行為訴訟における弁護士費用について,最高裁は,「訴訟活動は専門化,技術化しているため,一般人は弁護士に委任しなければ十分に訴訟追行をなし得ない」のであるから,「不法行為の被害者が,自己の権利擁護のため訴を提起することを余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任した場合には,その弁護士費用は,事案の難易,請求額,認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものにかぎり、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである。」と判示しています(昭和44年2月27日判決)。 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=27515&hanreiKbn=01 一方,使用者が民法715条1項に基づいて損害賠償を行った後の同条3項に基づく求償権について,最高裁は,「その事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において,被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができる。」とした上で,「石油等の輸送及び販売を業とする使用者が,業務上タンクローリーを運転中の被用者の惹起した自動車事故により,直接損害を被り,かつ,第三者に対する損害賠償義務を履行したことに基づき損害を被つた場合において,使用者が業務上車両を多数保有しながら対物賠償責任保険及び車両保険に加入せず,また,右事故は被用者が特命により臨時的に乗務中生じたものであり,被用者の勤務成績は普通以上である等判示の事実関係のもとでは,使用者は,信義則上,右損害のうち四分の一を限度として,被用者に対し,賠償及び求償を請求しうるにすぎない。」と判示しています(最高裁昭和51年7月8日判決)。 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26693&hanreiKbn=01 このように,判例は,どのような場合に弁護士費用を請求できるのか明示しておりません。 ただ,上記の判例からは,請求の専門性・技術性から弁護士代理が必要な訴訟であれば,加害者にその費用を請求できるし,また,被用者保護の観点から使用者が弁護士費用全額を求償することはできないといえるでしょう。
お礼
わかりやすいご回答、ありがとうございました。