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暴力団排除について、なぜ「公営住宅法」を改正しないのでしょうか?
平成17年4月に東京都町田市の都営住宅で暴力団員が立てこもり、けん銃を発砲する事件が起きたことなどをきっかけに、国から暴力団排除のための通知が発せられ、各都道府県・市町村等自治体で公営住宅条例の改正が行われています。 なぜ、公営住宅法自体の改正をせず、条例改正と自治体に委ねるのでしょうか?教えてください。
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国としては警察庁のメンツをかけて,暴力団の弱体化を図りたいでしょうが,地方公共団体としては,「単に暴力団構成員である」という理由のみで公営住宅に入居させないというのは相当な抵抗感を覚えていると思います。 「衣・食・住」というように,住居は「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)の基本であり,人格形成の場でもあります。 「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的」とする公営住宅(公営住宅法1条)から,具体的犯罪行為等の理由によらずして排除するということは,実際にその業務に携わる職員にとっても容易な仕事ではありません。 また,地方公共団体は,地方自治の本旨(憲法92条)に基づき,「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担」う(地方自治法2条1項)ところ,住宅問題のような住民の福祉に密着する事項について,国レベルで画一化することは,地方自治の本旨と鋭く緊張関係に立ちます。 現行公営住宅法においても,具体的に公営住宅の管理に支障のある行為があれば,32条に基づき,住居の明渡しを求めることができます。 そこで,国としても,あえて法律改正はせず,公営住宅法48条に基づき地方公共団体が制定する管理に関する条例に任せているのではないでしょうか。 【公営住宅法】 (公営住宅の明渡し) 第32条 事業主体は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、入居者に対して、公営住宅の明渡しを請求することができる。 1.入居者が不正の行為によつて入居したとき。 2.入居者が家賃を3月以上滞納したとき。 3.入居者が公営住宅又は共同施設を故意に毀損したとき。 4.入居者が第27条第1項から第5項までの規定に違反したとき。 5.入居者が第48条の規定に基づく条例に違反したとき。 6.公営住宅の借上げの期間が満了するとき。 (管理に関する条例の制定) 第48条 事業主体は、この法律で定めるもののほか、公営住宅及び共同施設の管理について必要な事項を条例で定めなければならない。
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- hahahapart
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まず、大前提ですがどんな凶悪犯罪者にも基本的人権はあります。 ましてその子供にはなんの罪もありません。 憲法には住居の自由が定められており、これは例え暴力団であっても適用されます。 と、すると暴力団に出て行け、入居するなというのは、それだけで憲法違反です。 そこで出てくるのが他の住人と共存関係で、その暴力団が入居することにより具体的にに他の住人が危害を受けることが明らかではない限り出て行けという根拠がありません。 すこしケースは違いますが、「泉佐野市民会館事件」というのが有ります。 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/339E633AAB3E996A49256A8500311E1B.pdf 市民会館という公共施設は誰にでも分け隔てなく利用させなくてはならないという条例があるにもかかわらず、市側が過激派団体の中核派からの利用申請を断ったことが違法か争われた裁判です。 判決では、具体的に被害が予見できない限り断ってはならないとしており、中核派は実際に武力衝突なども繰り返していたため、職員などが危険にさらされるとして断ることは合法と判決しています。 市民会館と住居では性質が異なりますが、これを参考にすればやはり具体的な危害が予想されない限り公共住宅の利用を断ることはでき無いのではないかと考えます。 で、ご質問の件ですが、公営住宅というのは国が経営しているものではなく、地方自治体などが経営しており、その根拠や条件を条例として定めていますから、その内容について国がとやかく言う筋合いのものではないということでしょうね。