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強磁性共鳴周波数の意味
キッテル固体物理学入門中の強磁性共鳴の周波数は単純な孤立スピンの場合の周波数w=γHと比較して、円盤の場合、垂直磁場を印加した際には周波数が低くなりますが、面内磁場を印加した際には周波数が高くなります。反磁界の効果による等記述がありますが、物理的なイメージが沸きません。具体的にどう理解すればよいのでしょうか。
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- KinakoAme
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ANo.1です。補足いたします。 ここでの話の前提として,外部磁場B0が加わっており,対象となる核スピンがフリーな場合には,原子核固有の磁気回転比γを用いて共鳴周波数はγ・B0と表されることを憶えておいて下さい。後はキッテルの記述通りで,非常に大きな平板試料に外部磁場が垂直に印加された場合にはω0=γ(B0-4π M),面内に印加された場合にはω0=γ{[B0(B0+4π M)]}^(1/2)となるということです。強磁性体の内部磁場は自発磁化を反映して大きなものが多いですから,外部磁場B0から考えられるよりもはるかに高い周波数になることが多いです。例えば1GHzを越えることもあります。もちろんω0=γ(B0-4π M)が,ω0=γB0よりも低い周波数になるとは限りません。
- KinakoAme
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一応キッテルの該当部分を読んでみました。強磁性共鳴は内部磁場により常磁性物質に外部磁場を印加した場合に比べて非常に高いラーモア周波数で生じる磁気共鳴のことですが,この質問は,強磁性共鳴についてというよりは,反磁場係数についてのことと思われます。実際に,キッテルの内容もFMR(Ferromagnetic resonance)の形状効果となっていますね。質問者の方も,孤立スピンについては理解されているようなので,ここでは反磁場係数について説明します。 試料(ここでは強磁性物質)では,自分自身の磁化Mのために磁化の方向と反対方向に反磁場Xn・Mが常に生じます。ここでXnのことを反磁場係数と呼びます。非常に細長い試料を長さ方向に磁化させる場合には,反磁場係数は小さくなり,非常に薄い試料を厚さ方向に磁化させる場合には,反磁場係数は1に漸近します。磁気共鳴は,スピンに加わる磁場の大きさに比例して共鳴周波数が決まりますので,反磁場が存在すると強磁性体の内部磁場が方向によって異なることになり,つまりは共鳴周波数がフリーなスピンの場合に比べて異なってしまうのです。もしも試料を球形に加工できるのならば,方向依存性がなくなりますので,通常のω=γBでよいということになります。
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お返事ありがとうございます。判りやすく回答頂きありがとうございます。実は、さらに、疑問な点があるのですが。反磁場というからにはマイナスの効果(共鳴周波数を低くする)があるのだろうと考えていました(実際、薄板に垂直磁場を印加した際にはw=γ(B-uM))。平行磁場の際には、周波数が高くなります(w2=γ(B(B+uM))。周波数が低くなるなら理解できるのですが、何故、面内の際には、反磁場が実効磁場を強めるような結果になるのでしょうか。この、疑問について教えていただけますと大変ありがたいです。
お礼
再度のお返事ありがとうございます。内部磁化というのは反磁界とは別ものでしょうか。内部磁化によるプラスの実効磁場が反磁界のマイナスの作用よりも大きければ、周波数はγ・B0よりも高くなるということでしょうか。それとも、反磁界というのは名ばかりで、プラスの作用、つまり、実効磁場を大きくする作用となる場合もあるということでしょうか。理解が悪くて申し訳ありませんが、反磁界が作用するのに周波数が高くなるというイメージがいまひとつ沸きません。可能でしたら、今一度宜しくお願いいたします。