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反転増幅回路と非反転増幅回路の周波数特性の違い。
反転増幅回路と非反転増幅回路に周波数特性に違いがあるらしいのですがそれがどういった違いなのかわかりません。わかる方いらっしゃいましたら教えてください。
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- inara1
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ANo.2 の補足ですが、OPアンプの入力容量や抵抗の浮遊容量を無視した場合の、反転増幅回路と非反転増幅回路の利得の周波数特性は次式で表わされます。 (非反転増幅回路) |Vout/Vin| = ( 1 + Rf/Rs )/√[ { 1 + ( 1 + Rf/Rs )/A0 }^2 + { ( 1 + Rf/Rs )*f/GB積 }^2 ] --- (7) (反転増幅回路) |Vout/Vin| = Rf/Rs/√[ { 1 + ( 1 + Rf/Rs )/A0 }^2 + { ( 1 + Rf/Rs )*f/GB積 }^2 ] --- (8) f は周波数 [Hz]、A0 は直流のオープンループ利得 [倍] です。Rs と Rf の単位はΩ、GB積の単位は Hz です。ANo.2 の式(5), (6) はオープンループ利得が傾斜している部分にしか適用できませんが、上式は直流を含む全ての周波数範囲で有効な式です。非反転増幅回路と反転増幅回路で Rf/Rs を同じ値にした場合、高域のカットオフ周波数(利得が直流利得の1/√2倍になる周波数)は全く同じになります。これは ANo.2 の説明と矛盾していると思われるかもしれませんが矛盾していません。Rf /Rs が同じ場合、非反転増幅回路の直流利得の大きさは 1 + Rf/Rs、反転増幅回路は Rf/Rs と、利得の大きさが1だけ異なるからです。直流利得を等しくした場合は、非反転増幅回路のほうがカットオフ周波数が高くなります。 直流利得 G0 と抵抗比 Rf/Rs の関係は (非反転増幅回路) Rf/Rs = { G0*( 1 + 1/A0 ) - 1 }/( 1 - G0/A0 ) --- (9) (反転増幅回路) Rf/Rs = G0*( 1 + 1/A0 )/( 1 - G0/A0 ) ---(10) なので、式(9)を式(7)に、式(10)を式(8)に代入すれば、直流利得が G0 の非反転増幅回路と反転増幅回路の利得の周波数依存が計算できます。Excelで周波数特性のグラフを描いてみると、G0 を同じにしたときに非反転増幅回路のほうがカットオフ周波数が大きいことが分かると思います(G0 が大きいと差が小さくなるので、G0 = 1 として計算したほうが良いです)。A0 と GB積は A0 = 10^5、GB積 = 10^6 などとすれば汎用OPアンプの周波数特性を計算できます。 ANo.2 で G0 = 1 のときの fmax が GB積の 0.4倍(非反転)と0.2倍(反転)になると書きましたが、式(7),(8)で計算してみると、GB積(非反転)、GB積の1/2倍(反転)でした。ANo.2 の計算に誤りがあるようです。
- inara1
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これはOPアンプの入力容量や抵抗の浮遊容量に起因する周波数特性の話ではなく、それらがない場合でも周波数特性が異なる理由ですね? 説明は後でしますが、周波数特性の違いの原因は、非反転回路と反転回路の利得を等しくしたときに、非反転のほうが大きな帰還率で動作しているからです。帰還率が大きいほどOPアンプの周波数特性が広くなるので、同じ利得なら、非反転回路のほうが周波数特性が良くなります。ただし、周波数特性の違いが一番大きくなるのは利得を1にした場合で(1未満の利得は非反転では実現できないので比較できない)、利得を大きくするほどその差はなくなっていきます。 なぜ違いが出るのかを理解するには、まずOPアンプのオープンループ利得が周波数依存を持つというということを理解する必要があります。 以下のように、- 側の入力端子を 0V (GND) としたとき、+ 側の入力端子に加えた信号の電圧 Vin に対する出力電圧 Vout の比 Vout/Vin がオープンループ利得になります。 ┏━┓ Vin ──┨+ ┠── Vout = A*Vin ┌┨- ┃ │┗━┛ ─┴───── GND ( 0V ) 現実のOPアンプでは、A の値は有限で、しかも周波数が高くなるほど小さくなっていきます。以下の図のように、周波数が低いところでは一定値 A0 ですが、ある周波数 f1 から小さくなり始めて、f2 で 1 となるような特性になります。下図の縦軸は A の対数になっていることに注意してください。傾斜部分が直線になっていますが、これは周波数が10倍になると A が1/10 になるという関係を表わしています。傾斜部分ではA と周波数の積が一定になっています。この積のことを利得周波数積(GB積:Gain Bandwidth積)といいます。A*f = GB積 なので、A = 1 となる周波数がGB積になります。この周波数より高い周波数では増幅率が1未満になるので、この周波数(GB積)はOPアンプが増幅できる周波数の上限になります。汎用OPアンプでは A = 10万(直流電圧を10万倍増幅できる)、GB積 = 1MHz 程度の値です。 ln(A) ↑ ├─ A = A0 │ \ │ \ | \ A = 1 | \ └─┼───-┼─→ 周波数 f1 f2 = GB積 ここまではオープンループでの利得の話ですが、以下のような非反転、反転増幅回路では、電圧利得 Vout/Vin は、このオープンループ利得 A を使って表すと以下のようになります。 ┏━┓ ┌ Rf ─┐ Vin ──┨+ ┠┬─ Vout │┏━┓│ ┌┨- ┃│ Vin ─ Rs ─┴┨- ┠┴─ Vout │┗━┛│ ┌┨+ ┃ ├─ Rf -┘ │┗━┛ Rs ────┴───── GND ─┴───── GND 非反転増幅回路 反転増幅回路 非反転 Vout/Vin = 1/( β + 1/A ) --- (1) 反転 Vout/Vin = - ( 1 - β )/( β + 1/A ) --- (2) A は上で説明したように周波数依存があります。A が小さくなるほど利得 Vout/Vin が小さくなります。βは帰還率と呼ばれるもので、出力端子から入力側に戻される信号の大きさの割合を表しています。上の回路の場合、帰還率は β = Rs/( Rs + Rf ) で表されます(非反転でも反転でも Rs と Rf が同じなら同じ帰還率になります)。βは0 ~ 1 までの値をとります。式(1), (2) の導出は宿題とします(+入力の電圧と-入力の電圧の差をA倍した電圧が出力電圧になることから簡単に導けます)。 もし、非反転増幅回路と反転増幅回路で、同じ直流利得 G [倍] となるようにする場合、それぞれの回路で必要な帰還率βは、式(1), (2) の A が A0 のときの利得の大きさが G となればいいので 非反転 G = 1/( β + 1/A0 ) → β = 1/G - 1/A0 --- (3) 反転 G = ( 1 - β )/( β + 1/A0 ) → β = ( 1/G - 1/A0 )/( 1 + 1/G ) --- (4) とすればいいことになります。非反転回路では 1 未満の利得は作れないので G≧1 とします。式(3)と(4)を比較してみると、同じ利得の場合、反転増幅回路のほうが必要な帰還率βが常に小さく、非反転の場合の 1/( 1 + 1/G )倍になっていることが分かります。反転増幅回路の帰還率はG = 1 のとき、非反転回路の帰還率のちょうど半分になります。G が大きいほど反転と非反転での帰還率の比は小さくなって、G = A0 のときは同じ帰還率(ゼロ)になります。G = 1 のとき、非反転増幅回路の帰還率は 1 - 1/A0 ですが、A0 は非常に大きいので、帰還率はほぼ1 (100%) になります。ところが、G = 1 のとき、反転増幅回路の帰還率は ( 1 - 1/A0 )/2 ≒ 0.5 ( 50% ) しかありません。帰還率が大きいほど周波数帯域は広くなるので、同じ利得 G でも、帰還率の小さな非反転回路のほうが周波数特性は良くなります。具体的にどれくらいの違いがあるのかを以下で計算してみます。 式(3)を式(1)に、式(4)を式(2)に代入すれば、直流利得が G の回路の周波数特性の式になります。 非反転 Vout/Vin = 1/( 1/G + 1/A0 + 1/A ) --- (5) 反転 Vout/Vin = - ( 1 + 1/A0 )/{ 1/G - 1/A0 + ( 1 + 1/G )/A } --- (6) A は周波数依存を持ちますが、非反転回路や反転回路の周波数特性の上限を決めているのは、オープンループ利得特性の傾斜部分なので、その部分だけを考慮すると、その特性は次式で表すことができます。 A = GB積/f --- (7) これはOPアンプ自身の特性ですので非反転でも反転でも同じ式です。式(7)を式(5), (6) に代入すれば 非反転 Vout/Vin = 1/( 1/G + 1/A0 + f/GB積 ) 反転 Vout/Vin = - ( 1 + 1/A0 )/{ 1/G - 1/A0 + ( 1 + 1/G )*f/GB積 } ですから、利得の大きさが G/√2 になる周波数(周波数帯域の上限) fmax は 非反転 G/√2 = = 1/( 1/G + 1/A0 + fmax/GB積 ) → fmax = ( √2 - 1 - G/A0 )*GB積/G 反転 G/√2 = ( 1 + 1/A0 )/{ 1/G - 1/A0 + ( 1 + 1/G )*fmax/GB積 → fmax = { √2 - 1 + ( √2 - G )/A0 }*GB積/( G + 1 ) となります。A0 は非常に大きいので 1/A0 の項を無視すれば 非反転 fmax ≒ ( √2 - 1 )*GB積/G 反転 fmax = ( √2 - 1 )*GB積/( G + 1 ) G = 1 の場合、非反転回路の fmax は GB積の 0.4倍程度、反転回路の fmax は GB積の 0.2倍程度と半分の帯域になってしまいます。非反転と反転回路の帯域幅の比は 反転増幅回路のfmax/非反転増幅回路のfmax = G/( G + 1 ) = 1 - 1/( G + 1 ) < 1 ですので、常に反転増幅回路の周波数帯域のほうが狭いことになりますが、G が大きいほどその比は1に近づくので、G が大きいほど反転増幅回路の周波数帯域は非反転増幅回路に近くなります。
- electron11
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非反転増幅回路より反転増幅回路の方が少し広いだけです 原因は解りませんが差がある事は確かです 以前比較した事がありますが大きな違いはありません 1割位広かったかな? ー3db落ちる周波数が1割位上 という事です 1割無かったかも どちらも帰還抵抗が大きい程狭くなります これは浮遊容量の為 叉利得を大きくするほど狭くなります アンプ自身の裸の利得特性と帰還抵抗が大きくなる為 限界付近で使う場合 出来るだけ広くするには反転増幅回路が良いと言う事です且つ帰還抵抗を小さくします 但し入力側の抵抗器が入力インピーダンスになりますから低くなります 当然ですね ですからドライブするのが苦しくなると言う事です