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位相補償用コンデンサ
フォトダイオードからの電流をOPアンプを使ったI-V変換回路で DC:0.1V、AC:0.05Vまで増幅させ、次にAC結合を行い この信号を100~200倍の増幅回路(OPアンプによる反転増幅回路) でAC成分のみを増幅させる回路を設計しようとしています。 このときAC結合後の増幅回路ですが位相補償用のコンデンサは 必要でしょうか?信号は200kHz程度はほしいのですが コンデンサをつけることによりそれが制限されてしまいます。 位相補償用コンデンサの有無の判断はどのようにして 行えばいいのでしょうか? ちなみに使用するOPアンプはLM6361(NS製)です。
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- inara1
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利得が100~200倍と大きい場合は位相補償の必要はありません。 位相補償というのは、設定利得を10倍以下に小さくしたときに、高周波側で利得のピークができて、発振気味になる(もしくは発振する)現象を抑えるもので、以下のような反転増幅回路で、C2 のところにコンデンサを入れて、高周波側で利得のピークができないようにするものです [1]。LM6361 は、利得が1でもこのような現象が起こらないように作られているので、利得が100~200倍と大きい場合は位相補償の必要はありません。 ┌── R2 ──┐ ┌─ C1 ─┼── C2 ──┤ │ │ ┏━┓ │ Vin ─ Cin ─┴─ R1 ─┴─┨- ┠──┴─ Vout ┌┨+ ┃ LM6361 │┗━┛ GND ─────────┴─────── GND 実際、LM6361を使って利得200倍の反転増幅器(R1 = 1kΩ、R2 = 220kΩ)を作ったとき、利得の周波数依存を回路シミュレータで見てみると、C1 = 0、C2 = 0 の場合は200kHzまで利得はフラットです(利得のピークは発生せず、利得が-3dB落ちる周波数が200kHzあたり)。したがって、LM6361を利得200倍で使うときは C2 のところには何もつける必要はありません。C2 にコンデンサを入れるとかえって逆効果です(C2の値が大きいほど周波数帯域が狭くなる)。一方、C1ところにコンデンサを入れると、高周波ほど利得が高くなるので、高周波での利得を持ち上げることができます。 C1 = 0 ・C2 = 0 のときの周波数帯域は 200kHz くらいですが、C1 = 220pF とすると 500kHz まで周波数帯域を広げることができます(利得のピークは発生せず、利得が-3dB落ちる周波数が500kHzあたり)。C1 の値がこれより大きくなると、250kHzあたりに利得のピークが発生し、これがどんどん大きくなるので、C1 を 220pF より大きくするのはよくありません。掲示板 [2] に回路シミュレータでの結果を添付しますので、C1の値によってどのような利得-周波数特性になるか比較してみてください。なお、C1の最適値は R1 の値によって異なります(R1 = 1kΩのときは C1 = 220pF が最適)。いろいろな要素を考えると、R1 = 1kΩあたりが適切な値だと思います。R1 がこれより大きいと、 R2 をそれに応じて大きくしなければならないので、R2 が持っている浮遊容量の影響で、周波数帯域が狭くなっていきます。R1 が 1kΩ より小さいと、低周波側の利得が落ちてしまうので、それに応じて Cin を大きくしなければなりません。 Cin を大きくするほど低周波側の帯域幅が広くなります(10μFのときは 20Hz、1μF だと 200Hz )。低周波側に必要な帯域に応じて、Cin の値を選んでください。なお、Cin の部分に電解コンデンサを使う場合は、電解コンデンサの高周波特性が良くないので、電解コンデンサと並列に 0.01μf ~ 0.1μF 程度のフィルムコンデンサか積層セラミックコンデンサを入れてください(高周波側での特性をこのコンデンサで補います)。 [1] 位相補償 http://ns.cqpub.co.jp/toragi/TRBN/trsample/2004/tr0406/0406ic6.pdf [2] C1 の値を変えたときの周波数特性 http://upp.dip.jp/01/img/7261.jpg