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スイッチング回路について
トランジスタによるスイッチング回路について分からない事があった為質問させていただきます。 内容はトラ技スペシャルNo.88のダイオード・トランジスタ・FET活用入門のP143より R1,R2,R3の値を求めます。一例として次の条件を与えます。 LED:赤色 IF=5mA VF=1.9V R3は次のようになります。 R3=(VCC-VF)/IC=(5-1.9)/0.005=620Ω 式1 次にR1,R2を求めます。Vinをある値にすると、Tr1がVCEが活性領域と飽和領域の境界電圧(約0.2V)になります。このVinの値を入力オン電圧VI(on)とすると次式が成り立ちます。 VI(on)=((R1+R2)/R2)*VBE+(R1*IC)/hFE0 式2 hFE0:活性領域の直流電流増幅率 駆動ディジタルICのVOHが3~5Vの場合、VI(on)は1.5Vが程度が適度な値です。Tr1のベース・エミッタ間はダイオードと等価なので、R1を省くと過大なベース電流が流れ込んで、Tr1が壊れる心配があります。逆にR1が大きすぎるとベース電流が不足して、十分なコレクタ電流が流れません。R1=R2=4.7kΩとすると、式2の右辺第1項は次のとおりです ((R1+R2)/R2)VBE=2*0.65=1.3V 式2の第2項((R1・IC)/hFE0)はhFE0に依存します。2SC1815の場合70~700があるためIc=5mAかつR1=4.7kΩに対し第2項は0.033~0.33Vの範囲でばらつきます。VI(on)は1.33~1.63Vとなりほぼ目標の1.5vが得られます。 回路図はわかりづらいですが、書いてみました。。。 Tr1:2SC1815 R1,R2:4.7kΩ R3:620Ω Vin:3~5V -----------電源(5V) | LED ▼ | R3□ -- Vin R1 / デ |-・-□--○Tr1 ィ | | \ タ | R2□ | ル | | | IC |---------------------GNDへ -- 上記の内容で、 VI(on)が1.5V程度が適当という点。 R1,R2を4.7kΩを選んだ点。 この2点がわからなかったのです。 こういった部品選びは経験から分かるものかもしれませんが、私は初心者で経験が足りず部品選びのコツなどが全然わかりません。。。 この点について教えていただけないでしょうか? また、部品選びなどのコツ等も教えていただける範囲でかまいませんので教えていただけないでしょうか? 内容が分かりづらいと思いますが どうぞよろしくお願いします。
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ご質問は、以下の2点ですね。 ・なぜON電圧が 1.5V 程度が良いのか ・ON電圧からどうやって R1 と R2 を決めるか 【なぜON電圧が 1.5V 程度が良いのか】 これは昔のロジックICの出力電圧範囲から来ているものです。ご質問の回路の入力信号がスイッチやPICマイコンの出力の場合は、その信号の電圧範囲の中間あたりにすればいいです。 今のロジックICはCMOSタイプですが、昔はバイポーラトランジスタを使ったロジックIC(TTL:トランジスタ・トランジスタ・ロジック)が主流でした。74LS○○という型番のICがそのタイプです(CMOSタイプは74HC○○)。TTLロジックの場合、出力電圧の範囲の最悪値が0.4V~2.7Vになっています[1]。0.4VというのはLレベルの最大値(実際はこれより低い)、2.7VはHレベルの最低値(実際はこれより高い)です。したがって、ご質問の回路をTTLロジックのICで駆動する場合、この出力範囲の中間の電圧= ( 0.4V + 2.7V )/2 = 1.55Vを ON電圧(これより高い電圧を入力するとONになる)にしておけば、ロジックのICの出力がLのときは確実にOFF、Hのときは確実にON にできます。つまり、ON電圧を 1.5V 程度にするといいというのはTTLロジックICの出力信号で駆動する場合の話です。質問文に「駆動ディジタルICのVOHが3~5Vの場合、VI(on)は1.5Vが程度が適度な値です」とありますが、これはHレベルの最悪値を3Vとして、その半分をON電圧としているものだと思いますが、正確にはVOL(Lレベルの電圧)の最悪値(0.4V)も考慮しなければなりません。 CMOSロジックICの出力で駆動する場合は、ロジックICの電源電圧の半分(5Vなら2.5V、3.3Vなら1.65V)とするのがいいことになります(CMOSロジックの出力電圧範囲は電源電圧の半分に対して対称になっています [2] )。ご質問の回路の入力信号がスイッチやPICマイコンの出力の場合は、その信号の電圧範囲の中間あたりにすればいいです。 【ON電圧からどうやって R1 と R2 を決めるか】 R1 とR2 の決め方は人によっていろいろ違うと思います。ここでは私の方法を紹介します。 私の方法とは、以下の2つの条件から R1 と R2 を決めるという方法です。 ・入力に、あるON電圧を加えたときのベース電流を決める(これはトランジスタが充分ONになる電流にします) ・入力に最大電圧(5V)を加えたときのベース電流を決める(上の電流の何倍というように) 2SC1815データシートのIc-Vce特性 [3] の原点(Vce=0,Ic=0)付近で、曲線が集まって1本の線になっている部分が飽和領域です。2SC1815はこの飽和領域が非常に狭いのが特徴です。したがって活性領域と飽和領域の境界ははっきりしません(この部分を拡大したIc-Vce特性があればいいのですが)。 仮に、コレクタ電流 Ic が 5mA で、コレクタ電圧 Vce が 0.2V のところを境界とすれば、Ic-Vce特性がこの境界に来るようなベース電流は ib = 0.1mA になります(特性図には ib = 0.1mA の曲線は出ていませんが、ib = 0.2mAの曲線と横軸の中間あたりの曲線になっていることが想像できます)。このとき、電流増幅率はhFE = ic/ib = 5/0.1 = 50 ですので、活性領域でのhFEの範囲より小さくなっています。まず、この条件から R1 と R2 の関係を求めます。 「ダイオード・トランジスタ・FET活用入門」に出ているかもしれませんが、復習の意味で、計算方法を以下に書いておきます。下図のように、R1 を流れる電流を i [A] 、ベース電流を Ib [A] としたとき、R2 に流れる電流は i - ib になります。 Vcc │ ▼ LED │ R3 ↓hfe*ib │ i → Vb ib → C Vin ─ R1 ─┬─── B i - ib ↓R2 E GND ────┴────┘ 回路の入力電圧を Vin [V] 、ベース電圧を Vb [V] とすれば、抵抗の両端の電圧は抵抗値に電流をかけたもの(オームの法則)なので、R1 と R2 について、その法則を当てはめれば Vin - Vb = R1*i --- (1) Vb = R2*( i - ib ) --- (2) 式(1), (2) から Vin = ( 1 + R1/R2 )*Vb + R1*ib --- (3) となります。一方、LEDに流れる電流(コレクタ電流) Ic [A] は、ベース電流に電流増幅率(hFE)をかけたものなので Ic = hFE*ib --- (4) 式(3), (4) から Vin = ( 1 + R1/R2 )*Vb + R1*ic/hFE --- (5) となります。この式が質問文にある式2です。 ここで、Vin = Von のとき、ベース電流が ib = 0.1mA とするには、式(3)から Von = ( 1 + R1/R2 )*Vb + R1*10^(-4) が成り立てばいいことになります。Vb = 0.65V とすれば Von = ( 1 + R1/R2 )*0.65 + R1*10^(-4) --- (6) です(Vbeは周囲温度によって 0.6~0.7V までばらつきます)。この式を満たす R1 と R2 の組み合わせは1つだけに限りませんが、R1 があまり小さいと Vin = 5V のときにトランジスタのベースに過大電流が流れるので、R1 をあまり小さくしてはいけません。データシートの絶対最大定格(データシート1ページ目)を見ると、ベース電流の最大値は 50mA となっています。Vin = 5V としたときに、ベース電流がこの値を下回っていればいいので、Vin = 5V のとき、ib = ibmax ( < 50mA )となるように設計すれば、式(3)より 5V = ( 1 + R1/R2 )*0.65 + R1*ibmax --- (7) となります。式(6), (7)から R1 と R2 の値が一義的に決まります。 今の話を一般化して、Vin = Von のとき ib = ibon、Vin = 5V のとき ib = ibmax となるようにするための R1 と R2 の値は R1 = ( 5V - Von )/( ibmax - ibon ) R2 = ( 5V - Von )*Vb/{ ( Von - Vb )*ibmax - ( 5V - Vb )*ibon } となります。この式で計算したとき、値によっては R2 < 0 となってしまうことがあります。これは実現できないという意味なので、そうならないようにVon や ibon や ibmax の値を決める必要があります。R2 > 0 となる条件は ibmax/ibon > ( 5V - Vb )/( Von - Vb ) ですので、これを満たすように ibmax の値を決めます。例えば、Von = 1.5V、Vb = 0.65V のとき ibmax/ibon > 5.12 としなければなりません。Ibon = 0.1mA ならば ibmax > 0.512mA としなければなりません。ibmax = 1mA としたの場合、R1 = 3.89kΩ、R2 = 5.48kΩ となります。 R1 = 3.89kΩ、R2 = 5.48kΩ として、手元の回路シミュレータで計算してみたところ、以下のような結果になりました(電源電圧は5V、コレクタ側には LED と 620Ω、トランジスタは2SC1815)。ほぼ設計通りになっています。ic が若干ずれているには VF = 2.1V のLEDでシミュレーションしたからです(VF = 2.1Vだと トランジスタが完全にONのとき4.677mA になる)。 hFE = 70 のとき Vin = 1.5V で ib = 93.71μA、ic = 4.493mA、Vce = 0.1046V Vin = 5V で ib = 967μA、ic = 4.607mA、Vce = 0.03076V hFE = 700 のとき Vin = 1.5V で ib = 92.96μA、ic = 4.538mA、Vce = 0.07574V Vin = 5V で ib = 967μA、ic = 4.610mA、Vce = 0.02909V [1] TTLロジックの出力範囲(PDFファイル2ページの a.TTLタイプの表) http://aitem-lab.com/pdf/tc_buhinn0_005.pdf [2] CMOSロジックの出力範囲(PDFファイル3ページの b.CMOSタイプ) 同上 [3] 2SC1815データシート(PDFファイル2ページの左上) http://www.semicon.toshiba.co.jp/docs/datasheet/ja/Transistor/2SC1815_ja_datasheet_071101.pdf
その他の回答 (1)
Vi(ON)が1.5V程度 R1,R2が4.7kΩに選んだ点 これらは、トランジスタ2SC1815の直流電流増幅率hFEと ベースエミッタ間電圧VBE-ベース電流IBの曲線からです。 VBE-IBの曲線は、 VBE<約0.65V・・・・・IBはほとんど0A VBE>=約0.65V・・・・・IBが急激に流れ出す という特徴があるためです。 また、直流電流増幅率hFEは70~700ということですが、 実際の製品にはhFEのランクというものがあります。 2SC1815 ランクo・・・・hFE=70~140 2SC1815 ランクY・・・・hFE=140~240 2SC1815 ランクGR・・・・hFE=200~400 2SC1815 ランクBL・・・・hFE=400~700 2SC1815と型名だけを指定して購入するとhFEのランクがフリーランク と扱われるためにhFEがどのランクに収まっているか わからず、hFE=70~700となってしまいます。 製品は、このランクo,Y,GR,BLまで指定をして購入しています。 インターネットやジャンク品取扱い店などは、フリーランクがほとんどです。 ほとんど、ランクYかランクGRが多いでしょう ということを考慮すると上記のように選択されると思われます。
お礼
回答ありがとうございます。 実際にデータシートみてみました。 25℃のVBE=0.65VあたりでIBが5uAあたり? 電流は流れているのでそこからが流れ出す点だということがわかりました。 hパラメータも多くの線があってランクによって違うのも確認できました。 しかし、まだ電子回路の知識がないもので VBE>=0.65からVi(on)が1.5Vが求められた?など、 VBE>=0.65からR1,R2が4.7kΩと求められた?という理由がわかりません。 経験で分かる世界なのかもしれませんが、 その値を求めた計算方法など分かるようであれば教えていただけないでしょうか? 私は頭が固く理論的に分からないと理解できないもので。 雰囲気で理解できるようになれればとは思っているのですが。。。 回答にまた質問を加える形になって大変申し訳ないのですが 回答いただける方いましたらどうぞよろしくお願いします。 hikari321さん回答ありがとうございました。
お礼
回答ありがとうございます。 理解できていなかった2点について理解する事ができ 大変スッキリしました。 書いていただいた式に解説までつけていただけたおかげで無知な私にも十分理解することができました。 私が見た限りではトラ技にはこのような求め方が載っていなかった(見逃していただけかもしれませんが。。。 と思います。知っている事が前提での話しになっちゃってるかもしれないので。 回路の値の決定の方法は今後の為にもしっかりと覚えておきたいと思います。 inara1さん、回答ありがとうございました。