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行政法の判例の解釈について質問です(法人税法違反被告事件)

こんにちは、質問させていただきます。 行政調査について勉強していたところ、平成16年1月20日最高裁判例の 法人税法違反被告事件という判例がありました。 1.質問検査権の行使により取得した証拠資料が、国税犯則事件の証拠となる事が想定されても、当該質問検査権の行使が違法とならない 2.法人税法における質問又は検査の権限の行使で集まった証拠資料が後に犯則事件の証拠となる事が想定できたとしても、それが犯罪捜査のための手段として行使されたことにならない という要旨なのですが、つまりこの判例は、刑事事件への証拠流用が「想定できる」範囲内であれば、行政調査で明らかになった事実を刑事事件の証拠として用いることができると解してもよいのでしょうか? つまり、「先にあげた法人税法第153条、154条及び155条…の規定による犯則質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」(法人税法156条) という条文があるが、法人税法153、154条に定められている行政調査の権利、そして趣旨を逸脱する事が無ければ、(想定できる程度であれば?) 刑事事件の証拠として用いる事ができる、という事でしょうか? 個人的には、この言い回しは、行政調査で取得した事実を刑事事件に流用する事に寛容的なのかな、と思ったのですが、まだまだ勉強不足ですので質問をさせていただきました。 もしよろしければ、ご回答をよろしくお願いいたします。

みんなの回答

  • ok2007
  • ベストアンサー率57% (1219/2120)
回答No.2

その判決は、「(質問又は検査の権限を)犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使することは許されない」との規範を、まず立てています。 その上で、「(質問又は検査の際に)取得収集される証拠資料が(質問又は検査の時点で)後に犯則事件の証拠として利用されることが想定」できたとしても、それは「手段として行使する」ことには当たらない、としています。 すなわちこの判例は、質問又は検査の時点で、後日流用の可能性があると調査官が想定できたとしても、それは法人税法156条違反ではない、と述べていることになりましょう。 要するに、「単に流用可能性を想定できたに過ぎないときは、違法収集証拠とならない」、と述べているものと思います。 そうすると、想定できなければ違法収集証拠にはなりませんし、逆に、想定できたに留まらず、犯則事件の調査あるいは捜査のために証拠資料を取得収集してしまったときは違法収集証拠になる、といえましょう。 違法収集証拠とならなければ、他に証拠能力を否定するものがないときに、所定の手続を経ることで、刑事事件の証拠として用いることができます。 この判例は、「流用可能性を想定できたに過ぎない場合には、証拠能力を一切否定されない」とまでは述べていませんし、所定の手続を経る必要もありますから、「想定できたに過ぎない場合には、直ちに証拠として用いることが出来る」とはいえないでしょう。

okjirusi
質問者

お礼

回答していただいてどうもありがとうございます。  >この判例は、「流用可能性を想定できたに過ぎない場合には、証拠能力を一切否定されない」とまでは述べていませんし、所定の手続を経る必要もありますから、「想定できたに過ぎない場合には、直ちに証拠として用いることが出来る」とはいえないでしょう。 成る程、よく分かりました。 解釈を大きく誤っていました… 疑問を解決することができましたので、回答の締め切りをさせていただきます。とてもよい勉強になりました。 回答していた方々、どうもありがとうございました。

noname#62168
noname#62168
回答No.1

この判例は知りませんが、この種のものが出されたら、論ずべきことは、 普通は、憲法学(あるいは行政法学)の行政手続の箇所で行政調査に令状を要するか という問題ですね。 通説は、原則として令状不要として(川崎民商事件など) ただし、実質上刑事手続と同視されるべき行政手続については、令状必要。として、 実質上刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有し、罰則による強制の度合いが、検査の相手方の自由な意思を著しく拘束して、実質上直接的な強制と同視すべき程度に至っているものには令状必要  としています。 たとえば、川崎民商事件では、令状が常に不要なわけではないが、所得税法質問検査では令状不要。といわれます。 2.の判例は上の「刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく」云々 にあたらない という主旨ではないでしょうか 刑事事件での証拠能力の話ではないと思います。 なお、刑事事件での証拠能力を論じるのは、憲法学の法定手続きの保障のところで、 違法収集証拠の排除の要件として、判例は、「令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないとき。」と言っている という論点になりますね。

okjirusi
質問者

お礼

すみません、お礼が遅れてしまいました。 丁寧に回答していただいてありがとうございます。 成る程、私の勘違いでした。訂正していただいてありがとうございます。 違法収集証拠の排除の要件についても非常に参考になりました。

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