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民422条「損害賠償による代位」・法権問題集p207 これは不公平ではないですか?

2007年度版法学検定試験問題集207ページには、「他人の物の寄託を受けたものが過失によってその物を盗まれたために、債権者に対して債務不履行による損害賠償としてその物の価格全額を支払った場合、その受寄者(債務者)は目的物の所有権と侵害者に対する損害賠償請求権を取得する。」とありますが、これは不公平ではないですか? 盗まれたのはそもそも債務者の過失のせいであって、真の被害者は債権者なのに、債権者よりも債務者が得しているように思えます。 債権者は物の代わりにその価格の全額の支払いを受けましたが、物を盗まれて債務者から物を返してもらえず、かつ損害賠償の支払いもない間は、その物を使えずに、代わりを買うこともできません。 損害賠償を受けても変わりを買うのは面倒くさいし、同じものが手に入るほしょうもありません。 一方、債務者は、自分の過失で盗まれたのに、物の価格の全額を支払えばよく、さらに物の所有権と侵害者に対する損害賠償請求権を取得します。 債務者の過失なのに、債務者のほうが侵害者に対する損害賠償請求権の分、債権者よりも得をしているではないですか。 このような結果になってしまうのはなぜですか? 債権者が救われる方法はないのですか?

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  • un_chan
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回答No.2

 これは、債務者に過失があって、履行不能になっていますから、まずは415条後段の適用場面です。  すると、本件の場合、寄託を受けた物の価額全額の賠償(填補賠償)が必要となり、実行すると422条の代位が問題になります。  この時に受寄者が422条の代位によって手に入れる損害賠償請求権は、元の物と別個のものではありません。物が傷一つなく帰ってくれば、その物に対する損害賠償請求権は発生しませんから、得はしません。  なお、盗んだ人の不法行為に対する損害賠償請求権や、物の利用利益についての不当利得の返還請求ができること等については、全く別の問題です。  また、 >かつ損害賠償の支払いもない間は、その物を使えず >面倒くさいし、同じものが手に入るほしょうもありません  これらは、416条2項の特別損害にあたることを寄託者が証明すれば、上の損害賠償とは別に、受寄者が賠償する必要があります。が、問題で聞かれている範囲から外れています。

noname#49311
質問者

お礼

ありがとうございます。 >>受寄者が422条の代位によって手に入れる損害賠償請求権は、元の物と>>別個のものではありません。物が傷一つなく帰ってくれば、その物に>>対する損害賠償請求権は発生しません これなら受寄者が過剰に得をすることはありませんね。よくわかりました。 >>また、 >>>かつ損害賠償の支払いもない間は、その物を使えず >>>面倒くさいし、同じものが手に入るほしょうもありません >> >> これらは、416条2項の特別損害にあたることを寄託者が証明すれ>>ば、上の損害賠償とは別に、受寄者が賠償する必要があります 寄託者が苦労した分も、受寄者によって賠償してもらえる可能性があるのですね。これなら納得できます。ありがとうございました。

その他の回答 (1)

  • nep0707
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回答No.1

民法が予定しているバランスという観点ではおかしなところは特にないように思います。 これは「債務者の債権者に対する責任」と「盗んだ人の債務者に対する責任」を分けて考えればいいのでしょう。 そうすると、債務者と債権者の関係では 「債務者の過失によって預かった物が返せなくなった」のですから、 民法上果たすべき責任は「預かった物に相応する損害賠償」です。 そして、盗んだ人と債務者の関係では、 「盗んだ行為によって損害を与えた」のですから、 不法行為責任として盗んだ物に相応する損害賠償責任を負います。 債務者の「過失」というのは債権者に対する過失であり、その責任は(民法が要求する範囲で)果たしています。 そして、債務者は盗んだ人との関係では被害者である、ということです。 >債務者のほうが侵害者に対する損害賠償請求権の分、債権者よりも得をしているではないですか。 債務者は得も損もしていないですよね。 これが腑に落ちないのは「過失なのに損をしないのはおかしい」という先入観があるからで、 民法はそういう考え方を取らないんです。 あくまで単純に 「誰に対してどれだけの損害を与えたか」「誰からどれだけの損害を被ったか」によって 責任の所在と度合いを決めます。

noname#49311
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 債務者が債権者に物の価格全額を支払うことで物の所有権を取得し、さらに侵害者に対する損害賠償請求権も取得するのでは、「物を買っただけなのになぜか侵害者がいて損害賠償を請求できる」のと同じではないかと考えていました。