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エミッタ接地増幅器の入出力・周波数・位相特性について
実験で、エミッタ接地増幅器のいろいろな特性を調べました。そこで理論値を出し実験値と比べてみようと思ったのですが、理論値の出し方が分からないのがありした。今回実験で使用した増幅回路はhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A2%97%E5%B9%85%E5%9B%9E%E8%B7%AFのエミッタ接地の回路と同じです。周波数が中域の(コンデンサを無視できる)ときの利得の周波数特性、位相特性(π[rad])、入出力特性(Vin、Vout)の理論式のだしかたはわかるのですが、周波数が高域、低域のときの各特性の理論式と低域、高域遮断周波数のだしかたがよく分かりません。感覚的にですが、どの域でも共通な式があり、各域によってコンデンサが開放や短絡され式が変化するような気がしています。参考書やネットで調べたのですが、明確な式が載っておらず困っています。基本的なこととは思いますが、どなたか教えてください。お願いします。
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共通な式というのは、コンデンサを入れて計算した式ということですね。 Denkigishiさんのコメントの通り、この回路は低域特性はコンデンサや抵抗の値で決まり、高域はトランジスタの特性で決まります。したがって広帯域に渡ってちゃんと計算するのなら、トランジスタの交流等価回路(SPICEパラメータ)を取り入れる必要があります。しかし、それではあまりに複雑なので、直流的な等価回路を使って計算する方法を紹介します。 hパラメータを使ったトランジスタの直流等価回路は、厳密には【図1】のようになりますが、実用的には【図2】のように簡略化したものを使います[1]。すると、問題のエミッタ接地回路 [3] の交流的な等価回路は【図3】のようになります。図3では、負荷抵抗RLを追加してあります。なぜなら、これがないと、出力コンデンサCoutの影響が出ないからです。この回路から電流と電圧の式を立てると i0 = j*ω*Cin*( v0 - v1 ) i1 = ( v1 - v2 )/hie i0 - i1 = v1*( 1/R1 + 1/R2) i1 + i2 = ( 1/Re + j*ω*Ce )*v2 i2 + i3 = -v3/Rc i3 = j*ω*Cout*( v3 - v4 ) i3 = v4/RL i2 = hfe*i1 ← 図2から ですから、電圧利得( v4/v0 )は v4/v0 = -j*ω*Cin*( 1/Rc + j*ω*Ce )*hfe*hie/( 1 + hfe )/[ 1/RL + { 1 + 1/( j*ω*Cout*RL ) }/Rc ]/[ hie*( 1/hie + 1/R1 + 1/R2 + j*ω*Cin )*{ hie*( 1/Re + j*ω*Ce )/( hfe + 1 ) + 1 } -1 ] となります(筆算なので間違ってるかも)。この式を変形して、v4/v0 = A + j*B の形にすれば、利得 = √(A^2+B^2)、位相(入力基準)= atan(B/A) [rad] となります。Excelの複素数計算の関数を使えば、利得=IMABS( )、位相=IMARGUMENT( )です。 なお、hパラメータには周波数依存があるので(データシートのは270Hzでの値)、Denkigishiさんのコメントの通り、これを考慮しないと高域での特性が現実と違ってきます。トランジスタの高周波等価回路の例を資料 [4] に示します。 i1 → ← i2 B ─ hie ─┐ ┌────┬── C v1 = hie*i1 + hre*v2 ↑ │+ │ │ ↑ i2 = hfe*i1 + hoe*v2 v1 hre*v2 ↓hfe*i1 hoe v2 │ │- │ │ │ E ────┴─-┴────┴── E 【図1】 hパラメータを使ったトランジスタの等価回路 i1 → ← i2 B ─ hie ─┐ ┌───── C v1 = hie*i1 ↑ │ │ ↑ i2 = hfe*i1 v1 │ ↓hfe*i1 v2 │ │ │ │ E ────┴─-┴───── E 【図2】 簡略化した等価回路 → i0 v1 → i1 ← i2 v3 → i3 v0 ─Cin─┬─── hie ┐ ┌──┬──Cout──┬─ v4 │ │ ↓ │ │ i0-i1 ↓ R1//R2 └─-┤v2 Rc ↑i2+i3 RL ↓i3 │ │ │ │ ┷ i1+i2 ↓│ ┷ ┷ ├─┐ ┷ = GND Re Ce R1//R2 = R1*R2/(R1+R2) ┷ ┷ 【図3】 結合コンデンサのあるエミッタ増幅器の等価回路 [1] 最も一般的なNPNトランジスタの2SC1815Yを使った場合、データシート [2] から、DC的なコレクタ電流が Ic = 1mA のときのhパラメータは、hie = 4.5 kΩ、hre = 0.5×10^(-4)、hfe = 160、hoe = 2.5μSとなっていますが、このうち hre と hoe は小さいので、これらを無視すると、図2に示したような等価回路になります。 [2] 2SC1815データシート(3ページの「hパラメータ-Ic」) http://www.semicon.toshiba.co.jp/docs/datasheet/ja/Transistor/2SC1815_ja_datasheet_020129.pdf [3] エミッタ接地回路 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Common_emitter.png [4] トランジスタの高周波等価回路 http://ns.cqpub.co.jp/toragi/TRBN/trsample/2002/tr0209/0209sn7.pdf
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- Denkigishi
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よく理解されたと思います。周波数特性をグラフで表すときは、コンデンサを省略せず、エクセルなどを使って細かく計算したほうがいいでしょう。
お礼
増幅回路の考え方についてよく分かりました。おかげさまで、増幅回路をより理解できたと思います。ありがとうございました。
- Denkigishi
- ベストアンサー率47% (269/562)
考え方だけを書いてみます。 1.質問者の「どの域でも共通な式があり・・・」はまさにその通りです。 2.式は自分で作るしかないでしょう。何処かから拾ってきたのでは自己の能力向上につながらない。 3.そのためには、まず、等価回路を作って、それから式を導きます。 4.この回路では見かけ上は高域の減衰は有りませんが、現実にはトランジスタの特性などから、当然減衰します。これにどう対処するかが力量の見せ所でしょうか。
補足
回答ありがとうございます。ということは、合成できるところの抵抗とコンデンサを合成インピーダンスで表して、そして簡易等価回路にその合成インピーダンスを適用して、求める式を求める。その後、条件に応じて、コンデンサを無視する。といった感じでよろしいのでしょうか?
お礼
詳しく説明していただき、ありがとうございます。おかげさまで、増幅回路についてより理解することができました。