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どのくらいの震度に耐えられるのか!?
小さな駐車場などのように、簡単な鉄骨物(工作物)に対して、地震力を0.2xN の水平力で計算を行い、支柱径や基礎を決めてたのですが、お客様から、『じゃあ震度いくらまでもつの?』との質問がありました。要は、基準法において、「安全かどうか」の確認はできるけど、特に地震に対してはどういうように考えればよろしいのでしょうか? 基準法の88条通りに計算は出来るのですが、いくらまでかというのは、多分わからないのではないかと思いますが。私は、『基準法の考え方がそもそも違うため、求められない。ただ、阪神淡路大震災以降、見直されている為、阪神淡路の地震には耐えられるんじゃないでしょうかねぇ~』といった感じで回答しようかと思いますが、いかがでしょうか?
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#4ですが、回答そのものではなくてすみませんが、補足です。 0.3の話は間違いではないと思います。 耐震設計の草分けである、佐野先生などの研究成果により地震の加速度を0.3を見込んでいけばよいであろうと、建築基準法制定以前に検討がなされていました。 そして当時は0.1という値を利用しています(たしか建築基準法以前につくられた東京市条例などで採用されていた)。 この当時はばらつきを精度良くとらえていないので、安全率(この用語が間違いというのなら仕方ないですが、他に適当な用語がないので)を3と考えて0.1としていました。 その後建築基準法などに採用するに当たって、計算精度の向上などにより、倍の0.2を採用しています。 また、0.2という数字による解析は動的(周波数などの影響)を考慮せず、静的な外力としてどのくらいの力を見込んだということから始まった値で、研究当時は手計算で計算するような時代ですので、層などを考えることはかなり困難なので、1質点での置換で考えていますので、外力として0.2G×建物の有効質量を考えています。 これは外力ですので外部から与えられる力です。また、当時は動的な考え方を取り入れていませんので、応答加速度という概念自体を解析に取り入れていませんでしたので、地震の加速度を本来表しています。
- thisaway
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建築基準法の耐震規定に沿って計算されているならば、建築基準法の耐震スペックをそのまま説明すればよいと思います。ですが基準法には想定する震度は書かれていませんので、基準法が想定する地震の加速度については「建築物の構造規定」(日本建築センター)の要求性能の章の耐震性能の項に記述を参照してください。 これによれば建築基準法が定めるベースシア係数0.2(地震力を0.2xNの0.2)は地動の加速度で80~100galを想定したものです。 これは気象庁の震度階で「震度5弱程度」といえます。 保有水平耐力(ルート3)の検討を行なっているのであれば300~400galの地震に対して倒壊しないことがいえますので、この地震は震度5強~6弱に相当します。 http://www.kajima.co.jp/tech/seismic/higai/030602.html
0.2で計算した建造物は設計震度0.2で設計していますので、計算上設計震度0.2まで耐えられることになっています。建築の構造設計の震度はいわゆる地震の大きさを示す震度とはまったく別のものです。 でも0.2ですと答えると一般の人はびっくりしてしまうでしょう。 この0.2という数字は加速度の大きさを示しています。重力加速度の0.2倍の水平加速度に耐えることを意味しています。#3さんがいっているガルでいうと196ガルまでは耐えられることを意味しています(実際は安全率1.5を見込んでいるので、重力加速度の0.3倍、294ガルまで耐えられることになっています)。 ちなみに0.3というのは、関東大震災で発生したと予測されている地震加速度の大きさを元に決めた値です(当時の地震計では針が振り切れて最大か速度は計測できていないのであくまで推定値)。阪神淡路大震災では0.8ぐらいの記録がとれていますので、これと比べるときわめて低い値ですね。 話を元に戻しますと、構造設計の震度というのは重力加速度の何倍の加速度に耐えられるかを示しているだけで、地震の大きさの目安である気象庁震度階(いわゆる震度)とは全く別のものです。 この設計震度0.2という数字は、1981年のいわゆる新耐震設計が出来る以前から使われていた数字なので(つまり旧耐震基準でも使われていた数字)、これで判断するだけでは、旧耐震設計と同じことになります。 気象庁の震度階は地震があると震度として発表されていますが、阪神淡路大震災以後変更されて機械で計測するようになりましたが、それ以前は気象庁の担当官の体感などで、判断しているアバウトな目安にしかすぎませんので、正確さは元々ない指標です。 だから構造設計などに使用できる値ではないのです。 (但し現在は加速度の大きさと地震の周波数を考慮して機械により計測して決めています)。 一方構造設計で使用される設計震度は元からきちんとした物理量ですが周波数の影響を考慮していません。 免震は安全というのがよく言われていますが、免震構造は周波数の影響を考慮せずに設計することが出来ません。 つまり、建物が安全かどうかには地震加速度の大きさと周波数の2つを考慮しなければ判断できないものなのです(周波数を考慮するとかなり計算が難しくなりほとんどの建築士が設計できなくなる)。 耐震設計では新耐震以降周波数の影響も考慮するようになってきていますが、完全にその影響を考慮するには建築基準法で決められている構造計算法のうちで一番難しいと言われる動的応答解析をするかなり複雑な方法などによる(いわゆる保有耐力計算などでは不十分です)、計算が必要です。 これで計算すれば、加速度周波数の両方が検討できます。 この方法で計算すれば阪神淡路大震災に耐えられるかどうかも計算上ではわかります。 次に建築基準法の考えでは、建物が存在する間に1度は発生することが予想される建物に対しては、無被害または軽微な被害(いずれも構造部分のみで仕上げ材などは被害を受ける可能性あり)になることを目指しており、建物があるうちに発生すると可能性は低いが地震が発生する可能性がある巨大地震(兵庫県南部地震はこれに相当する)に対しては、人命が損なわれないことを目標にしています。 人命が損なわれないと言うことは、倒壊しないことなどを指しており、大被害を受けて使用できなくなるような被害を受けてもよいことになっています。 先に述べたように気象庁の震度階は地震の大きさの目安であって、建築基準法や構造計算上に用いる物理量とは対応していませんが、一般に震度5強から6程度が大地震(被害がほとんどない地震)と巨大地震(被害を受けてよい地震)の境界といわれていますので、その程度の地震までは被害をほとんど受けず耐えられると言ってもよいと思います。 逆に耐震基準により設計しているのなら、阪神淡路大震災級の地震に対して無被害でいられるという保証は全くありません。 そのような巨大地震に対しては倒壊しなければ壊れてよいと耐震基準つまり国は考えているからです。 なお、なぜそんな考え方をしているかというと、被害を受ける可能性がきわめて低い地震にまで安全性を求めると、きりがなく費用が膨大になる、また地震の上限がどれくらいかはっきりしていないから、実際全ての地震に対して被害がないような設計は不可能だからです。
何ガルまで持つの? と聞かれたこともありました。私の返答はたいていこうです。 「震度でいえば7くらいの地震でも人が助かる程度というのが今の法律での目標数値ですが、法的には震度いくつまで持つとはうたっていませんし、私も、直下型で地割れが起きたとしても助かる・・とはいえないですねえ。」 全く壊れないという約束は出来ないのです。構造物の損傷は起きることは前提です。それでも助かればよしという法律なんです。 建築基準法は最低基準ですから、それより強くすることは問題ないですが、それ以上の根拠をもとめられると研究費用が必要ですよね。 日本国民全員が同じ法律によって安全を確保する最低限が人命尊重ということですから「地震にもつ」イコール「損傷を受けない」ではないことをご理解いただくしかないでしょうね。
お礼
ご回答ありがとうございます。 『ご理解いただく』ことですよね~、やっぱり。助かればよし。。。そうですね、考え方の参考になりました。ありがとうございました。
- kkknagisa
- ベストアンサー率52% (220/418)
たくさんの人が同じような問題で悩んでいます。 お客さんから問われるとドキリとしてしまいます。 なかなか、はっきり答えるのは難しいですね。だいたい、建築基準法は震度なんて関係ない作りの法律ですから。 参考URLが結構、おもしろいですので、ご参考まで。 私などは、書かれていることを理解するまでに何度も読まなければなりませんでしたが・・・・(恥)
お礼
ご回答ありがとうございます。 参考URL拝見いたしました。難しい!!が、何かのヒントは見つかりそうです。再度読み返し、何らかの方向を見つけていきます。 本当にありがとうございます。
- TYM-NAO
- ベストアンサー率23% (35/150)
地震は揺れ方やその揺れ時間が必ずしも同じとは限らないので、構造計算でも数値化は不可能ですよね。どんと来いの計算をすると経済的にとんでもないことになりそう。「震度○○まで」と限定返事は避けていいと思います。
お礼
ご回答ありがとうございます。私もそう思います。ていうか、さけたいので、作戦を色々と考えて見ます。ありがとうございます。
お礼
ご回答ありがとうございます。とても詳しく回答を頂き、感謝しております。 非常によく分かりました。どういう言葉で回答しようかと考えておりましたが、上手いこと記述されており、大変参考になりました。ありがとうございました。