- ベストアンサー
影のつけ方
建築を学んでいる学生ですが、平面図や立面図に影をつけて立体感を出したいんですが、どこから光が当たってというのを想定して、それから影がどれくらいの長さでどの向きにつくられるかわかりません。やったことのあるかたはだいたい勘でつくってるんですか?またいい本もあれば教えてください
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
- ベストアンサー
建築の企画設計においても、建築物のパース(完成予想図)を描くにしても、影の存在と、それがどのように投射されるかといったことは大変重要なことですので、すくなくとも「だいたいの勘で作る」ということはありませんし、プロたるものそれだけは避けなくてはなりません。 ことに、パース(完成予想図)の場合には、ある停止した時刻を想定した、太陽が移動しない条件で作図できるからまだいいのですが、これが建築企画ともなりますと朝から夕方までの間、「対象とする建物(これがご質問者様が影をつけたい建物になりますが)」に、その前に立ちはだかる建造物などがどのような影を落とし、それがどのように移り変わるかといったことが、実際の日照の状況とそれに伴う日照権の問題などとして大変大きな意味を持ってきますので、わずかでも間違いは許されません。 平面図、立面図、あるいはパース、これらすべてに影を加味するには、まず日照の来る方向と角度を設定し、その前に立ちはだかる建造物などが地面や、建物の壁や屋根にどのような影を生み出すか・・・これは図学的な手法で求められるものです。ですから、こうした記述がある図学の参考書でもお探しになってお読みになることをお勧めします。 影の出来具合の概念ですが、建築学においては、まず、太陽光(自然光)はどんな場合でも平行したものだという基本を応用するものです。 いま仮に、日差しの来る方向に立ちはだかる単純な家の形である五角形の立面を考え、その背後にはなにもない水平な地面があると想定しましょう。太陽光は平行なものですから、五角形の立面のそれぞれの角の部分からすべて一定の角度を持つ3本の平行線(接地部分の2ヵ所は線が無いので)を背後の平面上に引きます。この作業によって平面上では5箇所の交点が求められるはずです。この5箇所の交点を線でつないだエリアの中が影になります。 ここで仮に、この五角形の立面の背後の平面上に、別の「対象とする立面」が立てられた場合を考えましょう。前述の5箇所の交点を作る平行線が「対象とする立面」とそれぞれ交わる(貫通する)点をむすぶと、これが「対象とする立面」に落とされた影の姿として求められます。 この場合、「前に立ちはだかる五角形の立面」と「対象とする立面」の間の水平な部分には、当然のことながら先に述べた影がそのまま残ります。 これが最も単純な影の作図法ですが、現実には立ちはだかる建造物も、対象となる建築も、そのどちらもが複雑な形状をしているのが通例です。屋根の勾配もあり、軒や霧除けなどの突出部分もあり、開口部分などの細かい凹凸もあり、煙突などもあったりますから。 しかし、この場合でも考え方は同じです。ただ、作図の上で特徴となる「角」の部分が多くなっただけのことですから、すべてを見落とさず細かく交点を求めていけば、かならず正しい影の投射の姿は正しく求められます。 もし日差しと影の経時推移を求めるのであれば、朝、午前中、正午、午後、夕刻と、太陽が回るにつれて変わる日射の角度と方位を決めながら作図し、それらの推移を影の変形の推移として求めれば、「対象とする建物」に一日の間にどの程度の日照障害が予測されるかが分ってきます。