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NMRに関して
NMRを理解しようと本を読んでいるのですが、 よく分からなかったことがありましたので教えて 頂けると助かります。 (1) 300MHzと600MHzのNMRを比べると600MHzの方が分解能が 高いと言われますが、それはどうしてなのでしょうか? 300MHzの測定機ではδ=0と1の間は300Hzですが、 600MHzでは600Hzあり、このことが関係しているのでしょうか? (2) NMRチャートの右側(高磁場領域)を低周波数、 左側(低磁場領域)を高周波数とされるのはどうしてなのでしょうか? 原子核の周りは右側にいくにつれて電子によって遮蔽される度合いが大きくなり、 より強い磁場をかける必要があるため高磁場領域と 呼ばれるのだと自分なりの考えをしました。 この高磁場領域では原子核に歳差運動をさせるのに必要な ラジオ周波数がどうして低いのかよく分かりません。
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(1)300MHzと600MHzで測ったとき、両者で化学シフトは変化しません。 一方カップリングはカップリングの値が変化しません。ですから、似た場所にあって重なり隠れていたピークを分離して観測することが出来ます。 このことは特に二次元スペクトルの時便利です。 (2)磁場を安定化させるのとは発信周波数を安定化させるのでは磁場を安定化させる方が楽です。 なぜなら磁場の有効数字が圧倒的に大きいからです。発信周波数は固定することは簡単ですが線形に振ることは至難です。 そこでnmr装置は発信周波数を固定し磁場を線形に振ります。右側での吸収が高磁場に比例し左の吸収が低磁場に対応するので。今でも周波数を振っていた昔通り右を高磁場と呼びます。
- anthracene
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(1)はそういうことです。 二つの水素原子核AとBがあって、それぞれの化学シフト値が3.00と3.10だとします。 300 MHzのマシンだと、テトラメチルシランを0 Hzとした場合 Aの共鳴周波数は3.00ppm X 300 MHz = 900 Hz、 Bは 3.10 ppm X 300 MHz = 930 Hzなので、共鳴周波数の差は30 Hzしかありません。 一方、600 MHzのマシンだとAは1800 Hz, Bは1860 Hzとなり、共鳴周波数の差は60 Hzに増大します。化学シフトで考えるとどちらのマシンも変わらないように見えますが、電磁波のエネルギーで考えれば遷移エネルギーが倍化しますので、分解能が上がることが理解されると思います。 (2) こんどは水素原子核A(3.0 ppm)とC(8.0 ppm)を例にあげてみます。 マシンは300 MHzということにします。遷移エネルギーはAが900 Hz, Bが2400 Hzですね。 決まった強さの磁場をかけて、ラジオ波の周波数をスキャンしてNMRを測定することを考えてみましょう。この場合は、Bの方が遷移に必要なラジオ波の周波数は高くなります(あたりまえですが)。 ですから、Bのシグナルが出るチャートの左側は高周波数となります。 一方、NMRは他の分光法と異なり、ラジオ波の周波数は固定しておいて、磁場の強さをスキャンしても同じスペクトルが得られます。 AとCに2400 Hzのラジオ波が照射されている状態を考えて見ます。 Cは300 MHz(のラジオ波で水素原子核のスピンが共鳴する磁場)の超伝導コイルの磁場をかけてやれば、遷移します。 しかし、Aの方はこの磁場では、アルファーとベータスピン間のエネルギー差が小さすぎて遷移できません。遷移するには、もっと強い磁場をかけて、エネルギー差を広げてやる必要があります。具体的には、 300 MHzの磁場では900 Hzで共鳴する=800 MHzの磁場をかければ2400 Hzで共鳴する ということで、Aの方が共鳴させるのに高磁場が必要になります。 このような理由から、チャートの左を低磁場、右を高磁場と呼びます。 ちなみに、昔のNMRはラジオ波を固定し、電磁石の生成する磁場の強さをスキャンしていたという歴史的な理由から、今でも高磁場領域、低磁場領域と呼びます。 もちろん、現在の超伝導マグネットでは磁場の強さは一定なので、高磁場、低磁場というのは現実とは異なりますが。 最後になりましたが、説明の中で”900 Hzのラジオ波”とか書いてますが、これは省略で、実際にはこれは”900 Hz + 300 MHzのラジオ波”です。テトラメチルシランの共鳴周波数(300 MHzのマシンなら300 MHz)をプラスした値が、実際に共鳴するラジオ波の周波数です。
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有り難うございました。
NMRは、理論が難しいのでデータ解析が出来ればよいといわれました。
お礼
有り難うございました。