- ベストアンサー
導体表面での電磁波の圧力計算について
- 電磁波が完全導体に入射し反射する場合の金属が受ける力を計算するための簡単な例として、真空中で長さを持つ矩形直流パルスを考えます。
- 金属表面の磁界は反射波を重ね合わせて2倍になるため、表面電流密度はその2倍の大きさを持ちます。
- しかし、この計算方法では単位面積あたりの運動量も2倍になってしまうため、この計算方法には誤りがあります。正しい計算方法をご教示いただけないでしょうか。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
直流?電磁波 Eo、Ho が入射した際の導体「表面」の磁界は、H=2Ho で良いでしょう。しかし J=2Hoとし、F=J*μH=4μHo^2 とする計算は良いのでしょうか。J=2Hoという電流全てが H=2Ho という磁界の中に、さらされているでしょうか。電流に有限の厚さを与えた方が良いのではありませんか。 導体深さ方向 x の分布を、表皮効果の式を真似て、 H(x)=2Ho exp(-x/δ)、 j(x)=2Ho exp(-x/δ) /δ、としてみましょう。ここでδは表皮厚、また、 ∫exp(-x/δ) /δ dx [0~∞] =1 であって、∫j(x)dx [0~∞] =J であることにも注目してください。 F=∫j(x) μH(x) dx [0~∞] として与えられる力と、あなたの力 J*μH の差異部分を係数として計算すると、 ∫exp(-x/δ) /δ exp(-x/δ) dx [0~∞] = ∫exp(-2x/δ) /δ dx [0~∞] = 1/2 と成り、所望の 1/2 が得られます。 ご提示の問題は「矩形直流パルス的電磁波の完全導体への垂直入射」となっていますが、もう少し現実的な形で議論しても良いように思います。例えば直流を流した同軸ケーブルの終端短絡円盤にかかる力の計算で目的は達せられるように思います。円盤内放射状電流と軸周回磁界の深さ方向分布を、前述のように置けば良いだけです。入射電力としてP=ZoIo^2 を与えている時、入反射含めた電流は2Io であり、H(x)=2Io /(2πr) exp(-x/δ)、周総和の j(x)= 2Io exp(-x/δ) /δ、そして F= ∫∫j(x)μH(x) dr [内径a~外径b] dx [0~∞] = Io^2 (μ/π) ln(b/a)、 これに Zo=(μc/(2π)) ln(b/a) を考慮すると、F=2P/c が得られるようです。 しかし、直流なんだけど分布は指数関数なの? 終端円盤が表皮厚より薄かったら? 完全導体の場合表皮厚は零では? という不満が生じると思います。確かに直流で薄い円盤なら、放射状電流の大きさは深さ(厚さ)方向に均一で、軸周回磁界の大きさは深さ方向にランプ状と考えるべきかも。それでも心配ありません。この分布形が 1/2 という値を与える事は自明でしょう。 実は、" 1/2 " が生じる本質は有限の電流厚みにあるのであって、分布は何でも構わないようです。 証明してみましょう。 同軸ケーブル終端円盤内で、ある深さ x での軸周回磁界は、そのxにおける中央部軸方向電流に比例したものです。またその中央部軸方向電流(xの関数)は、放射状電流(周総和)の x 方向分布を - x 方向に積分したものと成ります。換言すれば、磁界が f(x) という形になる時、それとローレンツ力を形成する電流分布の形はその微分 - f(x) ' だということです。 「有限の浸透」により、あなたの係数" 1 " に変わって" 1/2 "が生じるエッセンスを見てみます。深さに関し積分済みの全電流と表面磁界の積が1という状況は、∫- f 'dx [0~∞] f(0) =1 と表せます。f(∞) =0 を前提とするなら、f(0)^2 =1 の状況とも言えます。ここから f(0) =1 という規格化倍率が比較の為に妥当である事が判ります。また円盤の厚さ h を明示的に含めるなら、f(∞) =0 に変わって、f(h) =0 が条件となります。 さて、f(0) =1、f(h) =0 、それ以外任意の関数 f に対し、∫- f ' f dx は、1/2 に成ってくれるでしょうか。 ∫- f ' f dx [0~h] は部分積分公式により、= ( - f f ) [0~h] -∫- f f ' dx [0~h] と表せます。従って、 ∫- f ' f dx [0~h] = 1/2 * ( - f f ) [0~h] であり、= 1/2 * ( - f(h)^2 - - f(0)^2 ) = 1/2 である事が解ります。電磁波の浸透深さ、電流の厚みさえ考えれば、分布に関わらず、" 1/2 "が生じるという事です。完全導体の場合は、直流に対しても表皮厚は形式的に零かもしれません。しかしその場合でも浸透深さを一旦仮定した後に、極限として零になっていると考えれば、" 1/2 "は不思議では無いでしょう。 ところで先日の「直流電磁波の先頭部・・・力のバランス」への回答: http://okwave.jp/kotaeru.php3?q=2276308 はご覧いただけましたでしょうか。不審な点などありましたらご意見ください。
お礼
circuit_breaker様 ご回答まことにありがとうございました。私は完全導体を最初から前提とした境界条件の簡単な計算で済まそうと思っていたところが軽率であることが良くわかりました。それも厚みを持たない電流に丸々磁界がかかるのだろうかと何となくおかしいと感じながらどうしたら良いか判らない状態でした。電流の作る電流の基本に立ち返ることを教わりました。極限操作がこれほど有効である例に出会ったのは久しぶりです。1/2の意味も十分理解できました。 ご教授まことに感謝いたします。今回現実的問題として同軸線路の直流問題へ適用してのご説明も加えて頂きました。直流伝送電力と反射圧力との関係をご提示いただき理解することが出来ました。この問題は2276308の問題にも深く関係していると思い大変参考になりました。 まずは2327347についてお礼申し上げます。大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。