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管轄判断(訴額)について
今、大学の試験勉強をしているのですが、どうしても分からないところがあるので質問させてください。 民事訴訟法の管轄のところです。 大阪に住むXが、京都に住むYに、弁済期を1年後、利率を年5%と定めて、140万円貸した。ところが弁済期が到来しても、Yが返してくれない。この時、Xはどこの裁判所に訴えを提起できるか。という事なんですが・・・。 (1)まず、この場合の訴額が、いくらで考えたらよいのかわかりません。 訴え提起時には140万円×1.05%=147万円となり、地方裁判所なのか。 そもそもの金額140万円と考えて、簡易裁判所なのか。 利率を定めた場合の取り扱いについてが、調べてもわかりません。 (2)次に土地管轄の問題なんですが、民訴4条より、原則として、訴えを提起される被告の側の利益を重視しなければならない。 とあるので、まず京都が候補地に入る。 しかし、原告の訴え提起の便宜を図ったり、当事者の公平をめざしたり、裁判所の審理の便宜を図ったりする目的から、財産権上の訴えは義務履行地を管轄する裁判所にも提起できる(5条1項)。 また、弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない(民484条)。 と、例外的な定めがあるのですが、 この場合は4条と、5条や民484条では、どちらが優先するのでしょうか? すべての管轄権を有する裁判所の中から、当事者(原告)が選べるのでしょうか? 民484条を見る限りでは、この場合、4条の定めを無視して、原告(債権者)の現在の住所が優先されるようにも思うのですが。。 是非ご教授ください。
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(1)についてですが、 #1の方が正しく、#2の方が誤りです。 根拠は、#1の方が挙げておられる民訴法9条2項です。 訴額とは、訴訟物の価額のことです。 本件では、 (A)消費貸借契約に基づく貸金返還請求権 (B)利息契約に基づく利息請求権 が訴訟物です。 原則的には「一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする」(民訴法9条1項本文)ので、(A)の元本額と(B)の利息額を足したものが訴額のようにも思えますが、その例外が9条2項です。 #1の方が正当に指摘されるように「果実…の請求が訴訟の附帯の目的であるときは、その価額は、訴訟の目的の価額に算入しない」のです。 主たる請求(本件では消費貸借契約)から生じた利息が「果実」であることは言うまでもないことであり、例えば有斐閣の法律学小辞典(第4版)にも「1つの訴えで複数の請求をする場合にはそれぞれの価額を合算するが,元本請求に附帯してなされる利息等の額は算入しない〔民訴9〕。」と記載されています。 なお念のため、同様の記載のあるWEBサイトがありましたので、参考までにURLを載せておきます(「利息」でページ内を検索すると、該当部分が見つかります)。 http://www.geocities.jp/fljp_law/saiban_inshi.htm http://www.jikohasan.cn/kabarai/kabarai_5.html #2の方は、訴状の請求の趣旨として「被告は、原告に対し、金○○円を支払え」のように書かれる請求額と、訴額を混同しているものと思われます。 訴額は、事物管轄や貼用印紙代算定の基礎となるやや技術的な数字で、民事訴訟法9条1項但書や2項を見れば分かるように、請求額と一致するわけではありません。
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- pacsia
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(1)訴額については利率を含めた提訴時点までの金額のはずです。 簡易裁判所のサラ金関係の訴訟に傍聴にいかれてはいかがでしょうか。 元金で起きている訴訟は一つもないはずです。 (2)私は法曹関係者ではないので恐縮ですが、経験から言えば地方の相手(被告)でも、私の居住地の東京地裁に全て提訴しています。 特に問題は起きていません。 民事訴訟法講学的な判断は以下、専門家に道を譲ります。
- utama
- ベストアンサー率59% (977/1638)
(1)については、民訴法9条2項に規定があります。 (併合請求の場合の価額の算定) 第九条 一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする。ただし、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでない。 2 果実、損害賠償、違約金又は費用の請求が訴訟の附帯の目的であるときは、その価額は、訴訟の目的の価額に算入しない。 利息は、果実の一種なので、訴訟物の価額には含まれないことになります。したがって、お尋ねのケースでは、訴額が140万円となるので簡裁に訴訟を起こせます。 (2) 4条、5条は、あてはまるもの全ての中から、原告が選択可能です。 民訴法4条が優先するなら、5条の意味がありません。また、5条に当てはまる場合に、被告の利益になる被告の住所地での訴訟を禁止する実益がないので、5条が優先すると解釈するのも変です。 民訴法5条一号には、「義務履行地」としか書いてありません。義務履行地がどこかは実体法(民法)にまかされています。民訴法4、5条と民法484条とは抵触(矛盾)関係にはありませんから、優劣を議論するようなものではありません。
お礼
早速の回答、ありがとうございます。 大変細かく教えていただき、大変感謝です。 特に(2)については、よくわかりました。 ただ、(1)が、他の回答者様(ANO.2)と違うのが疑問になってしまいます。 今自分でも条文を読み直してみると、訴額とは訴えで主張する利益(8条)とのことなので、もしかしたらこの場合、訴えで主張するのは140万+利率ということになるのではないかな?とも思ったのですが、いかがでしょうか?
お礼
回答ありがとうございます。 色々と、例をだしていただき、理解しやすかったです。 確かにおっしゃるとおりですね。もう少し研究してみます。