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日本軍の使う『貴様』
太平洋戦争の戦記を読んでいます。 日本軍では、上官が下の者に『貴様』と呼びかけますよね? 現代の感覚では、なにか怒られているような気がしますが、 その本のなかでは、優しそうな教官や先輩上官などが、 主人公の新兵を褒めるときにも使っています。 ということは、軍隊における『貴様』には、 罵りの意味は特に含まれていないのでしょうか? 『貴様』は、今で言えばどのようなニュアンスですか?
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戦前の海軍の場合、「貴様」と言う呼び方は、海軍兵学校の同期生、青年士官の間などごく親しい間柄、イーブンな意味で使うものでした。 「罵りの意味は特に含まれていないのでしょうか?」 罵りの意味は含まれません。「親しみを込めた意味」「お互いに隔たりがない意味」が含まれます。 「優しそうな教官や先輩上官などが、主人公の新兵を褒めるときにも使っています」 その場合、正しいのは「お前」であると思われます。上記のように、「貴様」は「親しみを込めた意味」「お互いに隔たりがない意味」が含まれますので、明らかに隔たりがある「上官対新兵」の場合は不適切だからです。 海軍士官は、海軍兵学校に入校すると同時に「下士官兵の上、准士官の下」に位置づけられました。兵学校生徒の時から、下士官兵に対しては相手の年齢に関わらず「お前」と呼ぶように躾けられたそうです。現在の警察でも、キャリア組は同様に躾けられると聞いています。 なお、陸軍の場合は、海軍で「貴様」を使うシチュエーションでは「貴公」を用いたはずです。陸軍を扱った本で「貴様」が出てきたら、それは誤りでしょう。
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- buchi-dog
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No5の者ですが、補足です。 >戦前の海軍の場合、「貴様」と言う呼び方は、海 >軍兵学校の同期生、青年士官の間などごく親しい >間柄、イーブンな意味で使うものでした。 例えば、同じ軍艦に乗っている少尉と中尉の間で 中尉->少尉 「吉田少尉」または「貴様」 少尉->中尉 「佐藤中尉」 と言う具合に、中尉が少尉を「貴様」と呼ぶことはあったでしょう。少尉が中尉を「貴様」と呼ぶことは有り得ません。また、大佐の艦長と少尉の間であれば、士官同士であっても、艦長が少尉を「貴様」と呼ぶことはなかったと思われます。立場がかけ離れていますから。 兵学校の同期生同士は、一生「貴様」と呼び合います。
お礼
海軍では身分が同じかそれ以下の者に対する親しみを込めた呼び方なのですね。 これから戦記ものを読むときも、おかげさまで深いニュアンスが読み解けそうです。
- ituka66
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私が、昔聞いた話だと、 「貴様」は、貴い(とうとい)に「様」をつけた感じで、物凄い尊敬するような人称でした。これは、古典の世界で。例えば、武家の書簡なんかにも、「貴様」と言う言葉を、物凄い腰の低い文章で相手に向けて使っています。 明治大正と時代が移ると、少し意味が砕けてきて、自分と同輩や少し目下の相手に対して、敬意をもって接する時の人称になりました。 で、問題の旧軍時代ですが、ここから言葉の意味ががらっと変わります。 軍隊に入った人は、天皇の子供であって誰であれ尊敬される対称な訳ですね(どういう理屈だよって思うけど)。もちろん、上官であっても下っ端の一人にいたって全て、等しく敬意を払う存在な訳ですよ(ってか、自分だって同等の立場に当たるんだから……って、思うんですけどね) だから、「貴様」っていう、尊敬の意味を含めた人称で、部下のことを呼んでいました。ちなみに目上の人は、役職がつくので、「小隊長殿」的な呼び方で更なる敬意を表していました。(古典では、「~殿」は目下もしくは同等の人への呼びかけだったそうですが) しかし、旧軍に置いて上官の態度と言うのは、あまり良くなかったそうで、呼びかけは「貴様」と言って敬っているのに、人を人と思っていないような言葉・態度が続いたりするわけですよ。 そうなると、「貴様」という言葉自体のイメージががた落ちです。で、国中の若者から老人までの男性がそれを体験し、女性も何割かは近くでそれを見ていた。となると、国中で「貴様」の価値が下がるわけです。 それで、戦後から私たちが思う「貴様」の意味が定着したのです。 と言ったことを、昔国語の先生に聞いた気がします。何分何年も前の話なので、ご参考までに。
お礼
回答者さまの先生は、おそらくその時代を見てきた方なのでしょうね。 どうして『貴様』のイメージが悪くなっていったのか、よくわかるような気がします。 言葉づかいだけ良くても態度が悪ければ品がないですね。 貴重なお話を聞かせていただきました。
- zorro
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貴様は、中世末から近世初期頃に武家の書簡で用いられた語で、文字通り「あなた様」の意味で敬意をもって使われていました。その意味では、ほんの記述もうなずけなくもありません。 しかしながら近世では、尊敬の意味が薄れ、同等以下の者に対して用いられるようになり、相手を罵って言う場合にも用いられるようになったため、近世末には上流階級で用いられなくなっています。↓
お礼
敬語とは、一般化するにつれて敬意が薄れていくと云いますよね。 教えていただいたページも言葉の由来がわかり、たいへん参考になりました。
- char2nd
- ベストアンサー率34% (2685/7757)
もともとは相手を敬う表現だったようです。それが時代と共にニュアンスが変わっていったようです。 近い言葉としては「お前」でしょうね。これも本来は「お前様」という言葉でした。
お礼
敬語だったものが、今では怖い言葉に変わってしまったのですね。 「お前」も「お前様」だったとはたいへん勉強になりました。
- ipa222
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ケースバイケースですね。 親しい同期で肩を組んで歩くような関係で、貴様と俺とはー同期の桜 と歌う事もありますし 大嫌いな部下の鼓膜が破れるくらい殴る時も、貴様ーと言って殴りますね。
お礼
その歌では、ごく親しい間柄のイメージです。 場合によってニュアンスが変わるようですね、ありがとうございます。
お礼
詳しい解説をいただいて、たいへん勉強になりました。 海軍における『貴様』は、親しみを込めた意味なのですね。 いま読んでいるのは、海軍のエース・坂井三郎さんの本です。 坂井さんは本のなかで、つねに上官や先輩に敬意を払って書いてらっしゃるようなので、言葉遣いも多少脚色をしたのかもしれませんね。 何度もお答えいただきありがとうございました。