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契約締結上の過失

契約締結上の過失があった場合、原則の不法行為責任では買主の保護が不十分だという理由で債務不履行責任の追及が可能ですが、なぜ不十分なのかが疑問です。 不法行為責任の場合、契約責任と比べて立証責任や消滅時効期間の点で不利益だといえますが、損害賠償の範囲に関しては、不法行為責任のほうが履行利益も賠償請求しうる点でよいと思うのです。 立証責任が課される点で不利益でも、履行利益まで賠償請求できるなら、不法行為責任を追及するほうが買主にとって有利ではないのでしょうか? それとも、立証責任がそれほどまでに不利益だということなのでしょうか?

みんなの回答

回答No.3

私は、契約締結上の過失が適用されるような場合(原始的不能の場合)、不法行為によっても、信頼利益までしか取れないと解すべきだと思います。 理由は、同じで、履行を観念できないからです。 そもそも、不法行為によったとしても、生じてもいない損害を賠償させることはできないはずです。 このことを前提にすると、契約締結上の過失の理論を使うか、不法行為を使うかは、要件において差があるにすぎません。 つまり、契約から5年経って、不法行為として責任を追及できないときとか、証拠が明らかでないとき、契約締結上の過失の理論が役に立ちます。 ご指摘のように、時効にもかからず、証拠も明らかなら、どちらの手段も大して変わりません。 ただ、一般的に、契約締結上の過失のほうが有利だと言うことは間違いではないと思います。

回答No.2

いわれるとおり、不法行為責任を追及するについて、消滅時効や立証責任について、何ら問題が無いのであれば、不法行為責任を追及すべきだと私も思います。それから、損害賠償の範囲について、質問者さんは、不法行為のほうが請求できる範囲が広く、債務不履行の方が狭い、と思われているように見受けられるのですが、それは違うと思われます。債務不履行の損害賠償の範囲は「相当因果関係の範囲」(履行利益)(民法416条)とされているのに対し、不法行為の損害賠償の範囲も民法416条を類推しているとされていますので、範囲は同じだと考えられるのですが?

othello
質問者

お礼

たびたびお答え頂きありごとうございます。 損害賠償の範囲については、契約締結上の過失があり契約が成立しなかった場合、契約が成立したことを前提とする履行利益までは請求しえず、信頼利益の限度で請求できるとされており、通説となっています。 なので、不法行為責任のほうが範囲が広くなると考えました。 さきほど前田先生のテキストを読んでみたところ、前田先生はこの場合にも履行利益まで請求できると考えておられるようです。 私も、どうせ債務不利行責任を追及できるのなら履行利益まで賠償請求できるとするのが自然だと思います。 不法行為責任の追及だけでは債権者の保護に欠けるため債務不利行責任を認めているのに、結果的に信頼利益の賠償請求しかできないのではあまり納得がいきません。 もっとも司法試験の論証的にはまだ「信頼利益の限度」と記述するべきなのでしょうね。 このような細かい点は考えすぎないほうが良いのかもしれませんが、丁寧にお答えいただいたことをとても感謝しています。

回答No.1

言われている通り、やはり「立証責任」及び「消滅時効期間」の点が、債務不履行責任に比べて不法行為責任を追及する方が、被害者(債権者)にとって不利になってくると思われます。お分かりのことかとは思いますが、消滅時効期間については、不法行為責任による損害賠償請求権は、3年で消滅するのに対し、債務不履行責任による損害賠償請求権は10年間追及できます。また立証責任については、「不法行為責任」を追及するためには、「被害者(債権者)」の方が、その不法行為をするに付き「加害者(債務者)」に「故意または過失があった事」を立証する責任を負担しますが、「債務不履行責任」を追及するためには、「加害者(債務者)」の方が、その債務を履行できなかった事に付き「自己に故意または過失がなかった事」を立証する責任を負担するからです。ですから、「被害者(債権者)」が立証責任を負わない「債務不履行責任」の方が、「被害者を救済しやすい」と言えるのです。

othello
質問者

補足

ご回答ありがとうございます。 もう少しわからないことがあるので、お答え頂ければと思います・・・ この場合、被害者が債務不履行責任の追及をするのは加害者の過失の立証が著しく困難な場合と考えてよいでしょうか? 明らかに過失があると考えられ立証がそれほど困難でなく、3年の消滅時効にもかからないような場合、損害賠償の範囲を考慮すると、不法行為責任の追及のほうが被害者にとって有利と考えてよいでしょうか? 重ねての質問ですが、お答え頂ければ有難いです。

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