- ベストアンサー
会社の損害賠償について教えてください。
知人の、数人規模の有限会社(A社)のことです。 法律には全く素人ですが、どなたか教えてください。 A社はB社のシステム構築の仕事を請け負いました。 それを下請けに出していたプログラマに逃げられて、納期が間に合わなくなりました。 B社からは「損害賠償を請求する」と脅されています。 (1)A社とB社は契約書を交わしていません(口頭での請負や、納期の設定です)。 (2)A社は、損害賠償を請求されても支払い能力がありません。 (3)A社は、今回の出来事で経営が傾き、会社をたたむ予定です。 このような状況で、B社の言う「損害賠償」とは、 実際にどの法律に基づいて、どのように行われるものなのでしょうか? また、A社には全く力が残っていませんが、 倒産や自己破産などで、なんとか切り抜ける術は残っているのでしょうか。 それとも代表取締役が借金を背負う形で損害賠償をしなければならないのでしょうか。 以上、よろしくお願いします。
- みんなの回答 (5)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
おおまかには、民法上は、契約違反を原因とする損害賠償(第415条)と不法行為(故意または過失)を原因とする損害賠償(第709条)の2種類があります。本件書面契約が無いのですが、書面は契約成立の要件では必ずしもないですから、本件B社がどちらで攻めてくるかは、私には良く判りません。本件書かれている範囲では、故意または過失を立証する方が難しいようですから、履行遅滞を原因とする契約違反による損害賠償で攻めてくると予想することにします。しかし民事訴訟法第226条により損害賠償金額が確定する前の訴訟提起は門前払いされるのが判例(最高裁大審院判決昭和56.12.16)ですから、事後処理まで進んで損害金額が確定しないとB社がA社を訴えることはないでしょう。 要するに法律論としてもビジネス論としても、損害賠償問題に今は拘泥しないで、たとえば、AB社共同でシステム構築の納期を新たに設定して、新たなプログラマを雇って再チャレンジすることが可能なら、そうすべきでしょう。もし最終顧客がすんなり納期変更に応じてくれれば、B社の顧客の損害はゼロになり、B社の追加費用だけが具体的損害額になります。もし顧客とB社の間の契約で納期遅延損害金支払い条項を定めていれば、契約に基づく遅延損害金とB社の追加経費が具体的損害金額となります。(私の仕事経験では、官公庁契約以外は営業は納期遅延条項を入れないのが普通でした。納期遅延条項をどうしても入れたがる顧客はそのリスクに見合う分システム構築価格を値上げするか納期に余裕を持った見積回答にするだけの話になるからです。昔の話で今はどうかわかりません。) もし、AB社が協議の上、C社に発注変えするしか方法が無い(普通はこの方がもっと納期が遅れますが)と判断することもありますが、この場合もB社の損害は上と同様の議論で確定します。 いずれの場合もB社がA社に損害賠償請求できるのは、顧客へのシステム納入後でないと、B社は対応できないことになります。そこでシステム納入後、B社は履行遅延を原因としてこれこれの金額を損害賠償してほしい、払わないなら裁判に訴えるという戦いの火蓋がきられることになります。 しかしシステム構築ビジネスは、簡単にはB社は訴訟を起こせません。書面契約が無いことがA社に有利に働きます。「2階建て1軒屋を今から1ヶ月後に建てて欲しい」という客はいないでしょうし、これを引き受ける営業、社長もいませんが、システム構築はこういうことは日常茶飯事ではないですが、多々あることです。もともと無理な要求の納期を誰がどういう基準で決めたのか、その責任割合は?ということを調べると、私の経験では納期遅延問題を起こすのはお客と営業の無知が原因のことが多かったです。もしそうならA社の責任割合は大きく下がります。もしC社に変えた場合はC社の納期見積りでこのことはすぐにわかります。 虫だらけのソフトが原因で、納期は間に合ってもかんじんのシステム検収になかなか合格せず、結果的に履行遅滞になった場合は、甘い納期回答や十分な人数のプログラマを手配しなかった技術陣の責任の場合が多かったです。 この場合はプログラマが逃げ出したのですから、そもそも納期設定がおかしかった疑いが濃厚と私は推測します。そうすると、もともと不可能な納期を設定された場合の履行遅滞責任はどうなるの、誰の責任になるのということが議論の対象になります。こういう話し合いの手腕がA社の社長に求められるでしょう。 ただしもし、A社が納期回答して、B社、そのお客がそれに合意して納期を決めたなら、A社は腹をくくって、損害賠償金を値切りにかかり、分割払いの提案でなんとか収束を図るのが正解になります。ただ、A社がB社から請け負ったプログラム作成費額と、B社がお客から請け負った見積金額は大きな開きがあるのが現実でこれが公開されるのはB社も困る事態すから、B社担当が口では損害賠償をほのめかしても、実際には、本気ではなく裁判にもならないと私は思いますが、本件については判りません。(A社がB社にいいかげんな対応をしていない前提、納期問題について理路整然と説明できる前提です。) 普通の企業では、損害賠償金の支払いをしなければならないため企業が倒産や自己破産するというのは私はあまり聞かないですね。IT企業の場合もそうです。 損害賠償金の支払い義務は法人にあって個人にはありませんから、社長個人に支払義務はありません。ただこれが回りまわって、手形が落とせないとか銀行の借入金が返済できないという事態になると、社長個人の連帯保証責任が問われることにはなるでしょう。キャッシュフロー管理をしっかりして、キャッシュフローに見合った損害賠償金支払いで折り合いをつけるのがA社の経営力ということになります。
その他の回答 (4)
- a375
- ベストアンサー率30% (439/1421)
#2です↑こちらは、代表個人名義の借入金があったと仮定して お書き頂いたという解釈でよろしいのでしょうか? それとも、この損害賠償で新たに何か「二次負債」というものが 発生するのでしょうか? あなた様のごのご質問とうりのことで結構です。普通の形態での回答です。何故かと申し上げますと今回の事件は経営の想定外のことです。従いまして有限会社を含め通常中小企業では一般的に借り入れがありますのでそれついてを申し上げました。いわば連鎖負債と申し上げてもよろしいかと思います。借り入れの無い 中小企業考えられないからです。有限会社であろうとも個人保証をされているケースが非常に多いことを考 慮しての回答です。
お礼
こんにちは。 再度のご回答、どうもありがとうございます。 内容、理解致しました。参考になりました。 どうもありがとうございました。
- moonliver_2005
- ベストアンサー率59% (536/904)
再びNo3です。 >B社からは「損害賠償を請求する」と脅されています。 本当に法律を理解し裁判などの実経験豊かな人なら、A社を脅しても法律的には意味あることではないと普通は考えますから、この人は法律をあまり知らない人か、学校は法学部でも勉強嫌いか実務経験ゼロの人と考えて良いでしょう。 ならば、A社社長や営業幹部はこの人の嗜好を割り出して、謝罪に行くかレストランに招待して、ごちそうし、カラオケ大好きならカラオケでドンちゃん騒ぎで、怒りを納めてもらう方法があります。残念ながら、私の経験ではこの方法はとても有効でしたね私の頃はバブル真っ盛りでしたから2次会は相手が行ったことも無いような銀座のクラブにするとぴたっと止まりましたね。(私は技術屋で、実際にやったのは営業で、私にこの発想もセンスもありません。ただついていっただけです。)IT企業はこういう営業力、営業センスも大切でしょう。 2次損害賠償請求も言い出しかねないので、作戦を練っておくと良いでしょう。たとへば「システム構築の遅れでお客の店舗全部の2か月分の売り上げがフイになった。どうしてくれる。2か月分の売り上げも払えと客に言われたので、この分も負担してほしい」という類の要求です。 こうなると例えば1千万円の請負金額で、数千万円から場合によっては数億の損害賠償請求も受けざるをえなくなります。 「こういう損害は2次的損害(英語でConsequential Damage、日本の正式法律用語は残念ながら私は知りません。二次的損害は単なるIT業界慣用語です。)といいますが、わが社はこれを負った契約の認識はありません。これは業界の常識、取引慣行です」と軽くあしらって、あとは好きなように言わせておけばよいでしょう。 X銀行とY銀行が合併した後、自動振込み処理システム に問題が出て社会的混乱が起きましたが、このシステムを請け負ったZ社、U社は、この二次的損害賠償責任を負担したら一部上場企業でも倒産ですね。こうならないということは、2次的損害賠償責任をシステム構築業者は負わない慣習である、とでも理屈をこねて事前に封じ込めることが良いでしょう。システム構築ビジネスはIBMやUnivacという外資がそのビジネスモデルを作りましたから業界慣習は事実です。 そのほか、「請け負った金額以上の損害賠償は受けられません。契約金額が1千万円なら損害賠償する金額は1千万円までです。これはわが社の内規です。(ご納得できないなら社長は裁判に訴えて結構と言っています。困ったものです)」と封じる手もあります。 納期遅れ、システムトラブルをどう乗り切るかが経営の要諦でしょう。こういった手練手腕、屁理屈で損害賠償を押さえ込むことができないと、IT企業経営は今後も難題山積になるでしょう。
お礼
なるほどなるほど…、 再びのご回答、本当にどうもありがとうございます。 No.3のお礼欄に書かせて頂いたのですが、 B社=顧客のため、質問の件には当てはまらないのですが A社は下請けもしており、今回のドタバタで他の案件にも影響が出ています。 その対応策として、とても参考になります。 このように有益なご回答が頂けて、本当に感謝しています。 ありがとうございます。
- a375
- ベストアンサー率30% (439/1421)
最初に誤解がおありですので申し上げます。 >B社からは「損害賠償を請求する」と脅されています。脅しでなくB者の当然の権利です。次のご質問の回答と重なります。>B社の言う「損害賠償」とは、 実際にどの法律に基づいて、どのように行われるものなのでしょうか? これは民法第415条債務不履行に基ずく履行不能として提訴されると思はれます。>A社とB社は契約書を交わしていません(口頭での請負や、納期の設定です)例え口頭であっても(好ましいことではありません)契約は成立しています。 >(2)A社は、損害賠償を請求されても支払い能力がありません。 有限会社が倒産した場合弁済は現存資産を償却してもなお残る場合資本金の範囲内で出資者 が弁済にあたります。>それとも代表取締役が借金を背負う形で損害賠償をしなければならないのでしょうか。回答が重なりますが 此れは代表のみならず全出資者が資本金の範囲内で賠償をしなければならないことになります。有限会社が倒産した場合、その債務の弁済は、現存資産を償却して、なお残るような場合だと、資本金の範囲内で出資者が弁済することになります。代表取締役1人と限りません。個人的に会社対する負債をおいません。その出資範囲出しか責をおいません。有限会社の有限の意味はまさにこのことです。 >倒産や自己破産などで、なんとか切り抜ける術は残っているのでしょうか。 意味が良くわかりませんが 一人で賠償責任を背負わないといゆう意味なら先ほどから申し上げていますように資本金の範囲内で出資者がその責を負います。問題はこの損害賠償で起こる二次負債、代表者や公的機関が、ある債務について別個に保証契約をしていた場合、その契約に拘束されます。この場合、代表者の実家を担保に入れていて且つその主たる債務が弁済されていないのであれば、最悪実家は手元を離れます。保証協会を通し保証人をつけた借入金については、会社が借主となって主たる債務を構成しているなら、倒産という形で会社そのものがなくなってしまうので、代表者個人はその債務に拘束されませんが、主たる債務を構成する債務者が代表者個人になっているなら、たとえ保証協会を通した保証人がその債務を弁済してくれたとしても、代表者個人はその保証人に対して保証人が債権者に支払った額+利子を弁済する義務を負います。 >請けに出していたプログラマに逃げられて、納期が間に合わなくなりました。此れについては当然損害賠償提訴できますがほとんど無駄なような感じです。 この回答は素人の回答です。万全を期すために是非 弁護士にご相談されますように。
お礼
長文のご回答、どうもありがとうございます。 助かります。 2点だけ確認をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか? (1) >有限会社が倒産した場合弁済は現存資産を償却してもなお残る場合 >資本金の範囲内で出資者が弁済にあたります。 ↑資本金が損害賠償の支払いに充てられるという解釈でよろしいのでしょうか? (2) >問題はこの損害賠償で起こる二次負債、代表者や公的機関が、 >ある債務について別個に保証契約をしていた場合、その契約に拘束されます。 ↑こちらは、代表個人名義の借入金があったと仮定して お書き頂いたという解釈でよろしいのでしょうか? それとも、この損害賠償で新たに何か「二次負債」というものが 発生するのでしょうか? 知識が足りず申し訳ないのですが、よろしくお願いします。
- tokioyasubay
- ベストアンサー率45% (517/1140)
口頭でも約束は約束、納期に間に合わなければ、民法の債務不履行による損害賠償責任、つまり、約束を約束通り履行しなかったので、その損害を支払えということになります。 また、民法の不法行為責任で訴えられるかもしれません。いずれにせよ、納期が遅れたことで、システムが完成しておれば得られたであろう利益とか、他の業者に改めて発注し直さなければならなかったことによって生じた損害を賠償しなければなりません。 会社の資産をすべてはきだして倒産するか、あるいは、債務の弁済を待ってもらって事業を続けるかの選択になります。 B社にしてみても、倒産されては回収ができませんので、事業を継続して後日回収できるなら、債務の弁済を猶予してくれる可能性は大いにあります。 有限会社というのは、個人資産までは責任を負わないという企業形態ですから、会社の資産で払い切れなければそれで終わりで、個人資産で賠償する必要はありません。 もちろん、会社の資産をあわてて個人に移したりしても、これはダメです。
お礼
大変分かりやすい説明を頂き、本当に助かります。 ありがとうございます。 こちらで出して頂いたワード(債務不履行・損害賠償責任・不法行為責任など)を元に、 さらに詳しく調べてみたいと思います。 (最初はどのように調べればいいのかも分からない状態だったので…) とても参考になりました。どうもありがとうございました。
お礼
長文のご回答、どうもありがとうございます。 業界の状況をよく知っていらっしゃるようで 全体的に、大変参考になったのですが、 A社の顧客がB社(=システム納品先)になります。 (でも、本当に為になるご回答で隅々読ませて頂きました) 質問文はなるべく簡潔にと気をつけて書きましたが 実際には様々の複雑な事情があり、A社の今の状況になっています。 ご回答をいただいた中で予測されているような要素が、 いくつも当てはまっています。 また、顧客から無理を押し通されたり、 途中で仕様変更が入ったり…ということもあったようです。 >普通の企業では、損害賠償金の支払いをしなければならないため >企業が倒産や自己破産するというのは私はあまり聞かないですね 確かにそうなのでしょうね。 この質問の会社の場合は、元々がギリギリ踏ん張っている状態で弱い立場にあり、 それが今回の(納期のきつい)案件を受注する事にも関係していたようです。 今は外注の逃げたプログラマの分の仕事を A社内でなんとかやって、納期は遅れても納品を目指していますが 実際にどうなるかは、顧客の出方次第になりますね。 「損害賠償を請求する」は、納品させるための脅し文句なのか、 本当に裁判を起こす気があるのか、ちょっと分かりません。 しかし、とても参考になりました。 本当にどうもありがとうございました。感謝致します。