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他大学の有機化学系研究室と製薬会社の未来について
- 有機化学で有名な他大学(国立大学)の薬学部や有機化学系の研究室を教えてください。
- 薬学部や有機化学系の研究室は将来性があるのか不安です。製薬会社の化学系の部門は縮小傾向にあると聞きましたが、本当でしょうか?
- 有機化学系の研究室は忙しくて大変だから人気がないのでしょうか?
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>そのような方は以前どこかで有機化学の実験や研究を経験した方なのでしょうか? 少なくとも私の知る範囲では、外研という形で実験化学系の研究室で卒論を取った人もいますが、むしろそうでない人のほうが多いですね。 但し、共通していることは、化学に興味を持っており学部3年程度の浅い知識は持ち合わせていると言うことでしょうか。これは、大学院進学の際に専攻を変える人についての一般的な話なのですが、受かる人は受験先の研究室の研究分野に対して自分が学部時代に専攻した内容がどのように貢献できるのか?と言うことを自分の言葉で自分なりに説明できる人ですね。逆に、私は~(受験先の研究分野)に興味があり、入学後は一生懸命勉強しますとか、~について学びたいので受験しました。と言う人は大抵落ちます。大学院は勉強を学ぶところではなく一緒に研究するところです、研究の仕方は指導してくれますが勉強(知識)までは教えてくれません。 つまり、化学、特に希望先の分野の基礎知識と最近の研究の動向さえ抑え、自分がどのように貢献できるのかと言う考えをしっかり持っていれば、実験技術はあまり問題になりません。相当不器用な人や根本的に周囲への注意力が欠落している人でなければ、本人のやる気しだいで卒研程度の実験技術は十分埋められます。実際、その研究室に4年生からいても実験下手な人はいるし。むしろ卒研で大事なのは、研究の技術ではなく研究の仕方を身につけることで、自分の頭で問題点を見つけ出し、整理して、解決するための手順を提起し、実行しまた新たな問題点を・・・という習慣を身に着けることだと思っています。 また、出身分野の異なる学生に対してそういったケアをしない研究室はそもそも分野外の学生を採らないので、研究室のHPを見たりや訪問に言った際に話を聞けばすぐわかります。 と、これは数学や情報系から来た学生が実際に実験化学を行う場合の話。 また、以前にもちょっと書きましたが、既に工学系の有機化学系の研究室は、従来の(=学部の有機化学の講義で学ぶような)有機化学のみでは対応できなくなっています。例えば、ナノ粒子やSAM(自己集合膜)などを研究するには、電子顕微鏡や原子間力顕微鏡など量子力学に依存するような応用物理学科で学ぶような知識や技術、有機半導体や有機ELなどの分子エレクトロニクスでは、勿論電磁気学など電子工学科で学ぶような知識や技術、マイクロリアクターでは化学工学や流体力学の知識が必要でしょうし、場合によっては生体を取り扱うための知識などが必要になってきます。さらに、体力のある研究室は、得られた物性に対して分子シミュレーションなど計算化学を駆使して理論的な解析も同時に行います。 このように、多彩な知識と技術が要求されてきます。そうなると、分子設計・合成から始めて機能評価までを一人の人間が行うのは不可能ですし、効率も悪くなります。その結果、一つの大きなテーマをポスドク(や博士課程の学生)が持ち、その下である一つのテーマに対して修士課程の学生が働くと言うことになります。従って、数学や情報からきた学生は場合によっては合成や機能評価部分ではなく、理論的な解析を担当して修士論文をまとめるということになります。実際、実験やらせると全くだめだけど、あの人がいなかったらこの論文は出なかったと言うことは結構あります。 結局、新しい分野を切り開いていくには、苦手なことを克服して平均的な能力を持った人の集団よりも、エキスパートばかりが集まって苦手なことはそれが得意な人に任せたほうが効率が良いということです。勿論、基礎的な知識は要求されますが。 長くなりましたが、言いたいことは若し研究分野を変えるなら、まず彼方がいる分野でのエキスパートになってくださいと言うことです。薬学部の有機合成だったら実際のところ有機合成反応の知識だけなら理学部や工学部の学生よりも豊富になるはずです。それは必ず彼方の将来にとって強力な武器になります。その上で、広い分野にアンテナを張って情報を収集していれば、必ずあなたにあったポジションを見つけることが出来ます。 最後に、院を外部から受ける場合で博士課程まで進むことを考えるなら、その研究室の人員構成に気をつけてください。卒研生に対して院生の多い研究室は外部から積極的に学生を受け入れている証拠ですし、卒研生とM1の人数が一緒だったり卒研生のほうが多い場合は入試でも入ってからも外部の人間に対して冷たい場合があります。特に学歴権威主義な先生の研究室に多いのですが。 まあ、そこら辺は実際にその研究室の先生や学生とコンタクトを採ればすぐにわかることなのですが。
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- mogula
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>薬学出身で他大学の大学院のテクノロジー系の有機化学の研究室に進学するのはおかしいかなと思っていました。 別に全然おかしくないですよ。最先端の事をやっている研究室ほど院生の出身学部は多彩になってきます。理学部化学科は勿論、薬学部や農学部の化学系や物理工学系の学部学科、数学や情報系出身の人もいます。結局のところ、最先端分野になればなるほど学際的な色合いが強くなり、有機化学のみの知識や経験では歯が立たなくなってくるためです。そのときに、違うバックグラウンドを持っている人がいると違った視点から議論できるので結構重宝がられます。 >グリーンケミストリー グリーンケミストリーの一つの流れに完全水系反応の確立がありますが、東京大学薬学部の小林研が以前水中での不斉アルドール触媒反応を報告して有名になってましたね。 >製薬系や純粋な有機合成化学分野 あまり過激な発言するといろんな先生方の反発を買いそうですので、あくまで私個人のかなり偏った見方だと言うことを先に言い分けさせていただいて、あまり真に受けずに聞いてください。 まず、製薬系の研究者に関しては既に回答があるように日本資本なら旧帝大クラスが要求されます。しかし、結局は海外資本に移るでしょう。つぎに、その海外企業は、研究者を採るときに博士号(Ph.D)を持っているか?で判断します。博士号持っていないと海外の研究者は話も聞いてくれません。その上で過去の業績(論文)で評価されます。従って、外資系の研究者になるには博士課程が設置されていて論文が増産できるような研究室に限られます。その意味でも、旧帝大クラスが圧倒的に有利になります。 で、ここで問題になるのが製薬系の研究職の体制です。昔のように優秀な技術を持った有機化学者をたくさん集めて運と直感と力技でと言う事をやっているところはもうありません。計算化学とコンビナトリアルケミストリーを駆使して少数精鋭で開発します。この傾向は今後さらに強くなります。従って、本当に能力を持った人しか製薬系の研究職にはつけなくなります。 純粋な有機合成化学分野。つまり、天然物の全合成に代表されるような分野ですが、莫大な時間と研究費、研究者や学生をつぎ込んで既知化合物を新規なルートで有機合成化学的に合成する価値がどこまであるのか?と言う疑問に帰結されます。これは、化学と言う学問はその発展の過程はもとより、生誕からして純粋な科学では存在し得なかったことに起因していると思います。つまり、常に産業利益と密接に結びついて発展してきた学問であるが故、純粋な興味のみの研究はあまり注目されないと言う現状にあります。確かに、以前は新規な反応の開発など化学に大きく貢献してきましたが、現在は新規の反応と言っても、悪意を持って言えば重箱の隅をつつく様な研究と言えなくは無い状態にあります。 また、若干視点を変えて厳しくならない分野は?と逆に見てみますとこれは、化学に限ったことではないのですが、現在から今後の科学のフロンティアは境界領域にあると考えています。これまでは、化学の場合他分野との境界領域に踏み込むための測定技術が無かったために無視されてきましたが、最近ようやく出来てきました。一昔前~現在では化学と生物の境界が注目されて加速度的に発展してきましたが、今後は物理と化学の境界が加速度的に発展すると考えています。超分子の分野で言えば、(超分子とは言うなれば機能性の規則的な分子自己集合体を扱う学問で、有機化学が分子内の共有結合に注目したのに対して、分子間の弱い相互作用である非共有結合に注目しています。)漸く最近になってin situで分子集合体を観察したり操作する技術や装置が出来始めたために、今後数年で一気に論文が増えると期待されています。それに伴い、今までは遊びのような基礎研究だったのが現実への応用を十分期待できるテクノロジーへ進歩すると勝手に思い込んでいます。 しかし、はじめに言いましたようにこれは、工学部出身の私の偏った見方かつ実験の合間に無責任に書いた文章なので、理学部出身の方に同様の質問をすると全く逆の答えが返ってくるかもしれません。
お礼
大変詳しい情報有り難うございます。製薬企業の研究者になるという事は本当に難しい事なんですね。大学の先輩が言っている事が理解できました。確かに、これから製薬企業は海外資本が中心になる日はそう遠くないかもしれませんね。海外の企業で研究者になるには最低博士号を持っていないと相手にされないという事にも驚きました。 純粋な有機合成化学の分野が厳しくなっていくという理由にもとても納得しました。有機化学ではありませんが、僕の高校の先輩に生命科学系の大学で博士課程の人がいます。その先輩の所属する研究室は純粋な興味のみの研究をしていて(その学部自体が)、それが直接産業には結びつかないようです。研究テーマも徐々に医薬品や診断薬開発の分野へ移行しているようです。 研究最先端の研究室ほど院生の出身者が多様と言う事を聞いてとても驚きました。数学や情報系の方もいるという事は特に驚きです。何度も質問してしまって本当に申し訳ないのですが、そのような方は以前どこかで有機化学の実験や研究を経験した方なのでしょうか?失礼な言い方になってしまいますが、4年生の卒論で有機系の研究室に所属したというのなら解るのですが、数学や情報系などの分野が異なる人が大学院に入学して有機系の研究室に所属したとき実験についていけるのでしょうか?
- beta-turn
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薬学の研究者になるには、国立、特定の研究室、が必須だと思います。 ご自分で考えている通り、私立薬学は、薬剤師、MR養成学校ですから。 有機化学はいい線かも知れませんよ。 薬学の知識のベースで研究を行えば面白いかも。
お礼
確かにそうですよね。私立大の薬学部はまさに薬剤師、MRの養成学校ですね。僕は製薬企業に限らず、化粧品や他化学系の企業の研究にも興味があります。有機化学を基礎に薬学以外の分野も考えてみたいと思っています。
- mogula
- ベストアンサー率60% (93/153)
工学系の有機化学の研究室に在籍してます。 薬学(製薬や生物化学)のことはわからないのですが、 >薬学部に限らず有機化学系で有名な研究室がありましたらまた教えて頂けますか? とありましたので、薬学系の有機化学の研究室に比べ基礎的な研究になりますが、いわゆる超分子化学やバイオミメティック化学と言われる分野なら、日本は結構世界でもいい所にいまして、有名どころは 九州大学の新海研 東京大学の相田研、藤田研 名古屋大学の八島研 大阪大学の井上研 京都大学の今堀研 今ぱっと思いつくのはあたりでしょうか? 何れも日本を代表する世界的な先生方です。 (全部旧帝大の研究室ですね) 二年生と言うことなので、まだまだ時間はあるのでいろいろ見て回ったら同でしょうか? 大学の先生の他にも理研や分子研への外研という手もありますし。 生物化学や超分子系の研究の流れや有名な先生を知るのに参考になりそうな書籍を二三挙げておきますと ・化学フロンティアシリーズ(化学同人)の ・ナノバイオエンジニアリング ・生命化学のニューセントラルドグマ ・分子ナノテクノロジー ・ゲノム装薬 ・先端化学シリーズ(丸善)の各分冊 確かに、製薬系や純粋な有機合成化学分野はいろんな意味で学術的にも今後厳しくなっていくと思いますが、テクノロジーの対象としての有機分子は結構注目されています。ナノテクノロジーにしても、バイオテクノロジーにしても結局扱うのは分子(特に最近は有機分子)なのだから、有機分子を自在に扱える有機化学者の将来は必ずしも悲観的ではないと私は考えています。但しそのため、有機化学者には、有機化学分野のみならず、物理工学や生物、環境などの広い分野の知識を持っていることが要求されます。まあ、これはどの分野でも一緒だと思いますが。
お礼
返信有り難うございます。研究室や書籍、とても参考になりました。実はもともと僕は工学部応用化学科の志望でした。行きたかった大学に落ちてしまい、たまたま受けて合格したため薬学部にいます。実際は僕は製薬系の有機化学よりもテクノロジーの分野の有機化学の方が興味があります。ただ、薬学出身で他大学の大学院のテクノロジー系の有機化学の研究室に進学するのはおかしいかなと思っていました。もし受け入れて頂ける研究室があればテクノロジー系に進みたいと考えています。グリーンケミストリーという分野にも少し興味を持っています。 あともしお時間がありました時教えて頂きたいのですが、なぜ「製薬系や純粋な有機合成化学分野」は厳しくなっていくのでしょうか・・・?
- miisima
- ベストアンサー率37% (228/604)
先輩の言っている「製薬会社の化学系の部門は縮小されてきてあまり未来がある分野とはいえない」というのは、当たっていると思いますね。 最近でも、山之内と藤沢が合併してアステラス(しかし、名前も、なんだか‥‥)になるし、吸収合併の波はまだまだという印象です。 また、#1さんが書かれた「就職力」に関しては、激しく同意します。まったくそのとうりだと思います。 私の行ってたガッコ(当時)の有機の講座も、まぁ、そんな感じだった印象ですが、教授が変われば、また、違ってくるかもしれません。 しかし、研究職は厳しいですよ。国立の院でたって、全員が研究職についているわけではないです。
- nintai
- ベストアンサー率31% (401/1269)
だいたい本当です。 現在、日本の製薬会社は世界的な競争力を持ち合わせておらず、日本でダントツの武田薬品工業でさえ、世界のトップ10入りできてません。 国内の上位以下の製薬会社は、今後も外資の吸収合併に飲みこまれ、研究開発部門は海外の本社のみになるでしょう。日本国内で製薬メーカーの研究職として就職するのは非常に難しいんですよ。 まぁ、そもそも高校生のときに『製薬会社の研究職になりたいんだったら、旧帝大以上の薬学部にいかないと無理』という話は有名だったと思うんですが。 薬学部内で、有機系の研究室が人気がないかどうかは私は知りませんが、研究室人気というのは『就職力』で決まりますから、人気がないってことは就職状況がよろしくないんでしょう。 学生は、仮にどんなに忙しくてもそれに見合った就職先が保証されているかぎりその研究室を希望します。 製薬メーカーにはこだわらない方がいいです。あくまでこだわりたいなら、海外の大学院で修士を取るぐらいの気持ちじゃないと難しいと思いますよ。 それよりも、国内で他の大学院に進学して化学メーカーの研究職として就職活動をした方がいいと思いますよ。確かに、旭化成などは一部の大学でないと難しいとは思いますが、他のメーカーならいろいろと魅力的な就職先があると思います。 まぁ、大学院で外部を受験するだったら、とりあえずは英語を勉強することになると思います。
お礼
お礼の返信遅れてしまって申し訳ないです。細かく教えて頂きまして有り難うございます。正直僕の大学の先輩でもここまで詳しく解ってて、説明してくれる人はいないと思います。他大学の研究室に入るには実験技術ではなく、その研究室に学部時代の専攻した内容がどれだけ貢献できるかが重要ということですね。僕の大学は私立大学で国立大学とはレベルが違いますし、もちろん研究室のレベルも違うと思いますので仮に入学できたとして足手まといにならないか不安でもありました。もし希望の大学に入学できて研究室に所属したら自分が専攻した分野でエキスパートになりたいと思います。また、研究室によってはやはり受け入れが積極的なところとそうでないところがあるんですね。研究室を決める際に直接研究室に伺うなりしてよく調べてみたいと思います。細かく教えて頂きまして本当に有り難うございました。とても参考になりました。