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  • 登録日2011/03/17
  • 「やらない善よりやる偽善」の元ネタ

    「やらない善よりやる偽善」 最近ネット上でよく見かけるようになったこの言葉の元ネタを探しています。 ご存じの方がいれば教えていただけますでしょうか。 漫画 鋼の錬金術師 第15巻 第58話 破滅の足音 29ページあたりに、 ユーリ・ロックベルという名の医者が患者を治療するシーンで、 怪我をした男「人助けして点数稼ぎか!? 偽善者め!!」 ユーリ医師「偽善で結構! やらない善よりやる偽善だ!」 というやりとりが描かれているため、このマンガが初出だと思っていたのですが、 そうではない、という方の意見をちらほらと見かけます。 しかしその中に、ではどういった経緯でこの言葉がネット上に広がることになったのか を明記されている方はいませんでした。 加えて、この言葉の真意を理解されている方は非常に少ないようにも感じられました。 この医者は、自らが軍事大国の出身者でありながら、反抗勢力の村で治療を続けています。 そのためにユーリは戦地で患者に受け入れてもらえず、 患者から敵意をむきだしにされ、罵られることになり、 それに反論する形でこのセリフを言っています。 つまり本来のこのセリフは、今まさに生命の危険にある患者たちに対し、 いくら罵ってくれてもいいから医者として治療をさせてくれ、という意味です。 少なくともこの作品内ではそうです。 しかしネット上では、こういったキャラクターの思想などはあまり理解されず、 「やらない善よりやる偽善」というわかりやすい言葉だけがひとり歩きしているような状態のため、 被災地に折り鶴を送ったりといった行動が、 ゴミになるだけで無意味、かわりに募金しろ、ただの自己満足だ、と批判され、 それに対して一部の方々がこのセリフを引用して反論しているために、 いつの間にか、非常に悪い意味で使用されるようになってきているように感じます。 とくに、東北関東大震災が起きた3月11日からはさらにひどくなってきているように感じられます。 被災地に折り鶴を送るなどといった、ある意味で独善的な行為と(そういったことが必ずしも悪いとは思いませんが)、 見返りを求めることもなく医者が危険をかえりみずに患者の命を救うことがどちらも偽善であり、 たいした差異はないと言いきるのであれば、僕はその方を軽蔑しますね。 ちなみに、この単行本は2006年12月に発売されています。 ぜひご意見をお聞かせください。